20年火災概況

焼損棟数27棟増、建物火災多く
大島地区消防組合 発生件数は31件と微増

 大島地区消防組合消防本部はこのほど、2020年の火災概況(速報値)をまとめた。管内の火災発生件数は前年比3件増の31件で微増となった一方、建物を焼く火災が前年の11件から20件に急増。焼損棟数は前年と比べ27棟増の51棟に上るなど、住家などへの被害が広がった。

 市町村別発生の内訳は、奄美市名瀬6件、同笠利町4件、喜界町5件、瀬戸内町11件、龍郷町4件、大和村1件で、奄美市住用町と宇検村での発生はなかった。発生対象は、「建物」が前年比9件増の20件(うち住宅14件)と最多で、「その他」が8件、「車両」が3件となった。

 焼損棟数は前年比27棟増の51棟で、うち全焼24棟(前年比13棟増)、半焼3棟(同2棟増)、部分焼15棟(同9棟増)、ぼや9棟(同3棟増)と大幅に増えた。り災世帯は43世帯で、うち全損18世帯、半損1世帯、小損24世帯で、り災人員も前年比32人増の66人に上った。

 出火原因別では、「火入れ」が6件(前年比2件減)と最も多く、次いで「たき火」が5件、「たばこ」「かまど」「その他」がそれぞれ3件と続いた。焼損棟数が増えたことで、建物延べ床焼損面積は2114平方㍍(前年1164平方㍍)に増加し、損害額も6334万6千円(同4013万4千円)と増えた。

 20年の大火は3件(前年比1件増)。8月23日は奄美市名瀬永田町で4棟を全焼する火災が発生。9月12日には、同柳町で鍋の火の消し忘れが原因と考えられる火災で住家など7棟が全焼し、9月24日には瀬戸内町の古仁屋市街地で住家や飲食店など5棟が全焼した。

 20年は2人(前年比1人増)が死亡し、2人(同2人減)が負傷者。発生件数は31件で、過去10年間で、12年の23件、16年・19年の28件に次ぐ4番目の低さだった。

 同本部は「たばこやコンロの消し忘れなどが出火原因のものも多く、注意すれば防ぐことのできる火災も多かった」と状況を分析。「今年はたばこの不始末や電気機器の許容量順守など、防止できる火災に対しては注意喚起を行うなど、周知・啓発を徹底していきたい」と話した。