奄美市社交飲食業組合

午後9時以降の営業自粛が求められている奄美市の飲食店が並ぶ「屋仁川通り」

「協力に応じるよう呼び掛け」
県の営業時短要請受け
協力金、営業形態に配慮求める声も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県が奄美市など県内5市の飲食店に営業時間の短縮を要請したことに対し、市内の飲食店約90店舗が加盟する奄美市社交飲食業組合は23日、理事会を開き、県の要請への対応などについて協議した。同組合では、市内の飲食店の従業員から感染者が出たことなども考慮、県の要請にできるだけ協力するよう、会員ら市内の飲食店に呼び掛けることにした。

 奄美市では年末以降、今月18日までに計21人の感染が確認された。17日には、同市名瀬の歓楽街「屋仁川」の接待を伴う飲食店の従業員や関係者ら4人の感染が明らかになり、店名が公表される事態となった。飲食店関係者から新型コロナの感染者が出たことで、屋仁川を中心にさらに苦境に立たされている飲食店も多く、店舗入り口には、前日までの予約客のみ対応する張り紙が張られた店舗などもある。

 こうした状況下で、県の時短要請が出たことについて、接待を伴う飲食店を経営する女性(40代)は、「屋仁川で感染が確認されて以降、開店休業状態なので、県の要請に応じたい」と話した。

 市内で居酒屋を経営する男性(39)も「協力金は正直、とても助かる。営業してもほとんど客がいない状態が続いていたので、時短要請には応じたい」と話す。この男性が経営する居酒屋は、カウンターや座敷など最大約25人が入店可能だが、「1月は一人も客がいなかった日もある」と言い、一日平均の来店客は5人程度。現在の売り上げは1日平均3万円程度で、人件費や家賃、仕入れなどの経費を考えると赤字という。

 2週間の営業時間短縮の協力金は56万円で、1日当たり4万円の計算となるが、男性は「売り上げ以上の金額を保証してもらえるので助かる。みんなで時短に協力し、新型コロナをしっかりと抑え込めるようにしたい」と話した。

 同組合の伊東隆吉理事長は「県の要請にはできるだけ協力するよう組合員らに呼び掛ける方向で準備を進めたい」とした上で、「25日午前0時から時短営業となると、実際には24日の営業から時短しなくてはいけない店舗も出てくる。各店舗に早急に対応するよう呼び掛ける必要がる」などと話した。

 また、協力金については、「店舗ごとに規模や営業形態なども違う。一律56万円という額については、もう少し配慮があっても良かったのではないか」と指摘。多くの従業員を抱える店舗が協力に応じられるか、懸念も示した。