クロウサギ交通事故過去最多66件

アマミノクロウサギへの注意を促す標識の例

 

環境省20年まとめ「夜間の運転に十分注意して」
ティッシュボックス設置協力を

 
 環境省沖縄奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所は25日、奄美大島と徳之島だけに生息する国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故が、2020年は過去最多の66件(奄美大島、徳之島の合計)になったと発表した。同事務所は、「夜間の運転に十分注意を!」と呼び掛けている。

 アマミノクロウサギは日暮れから朝方まで活動する夜行性で、ハブなどに襲われないように見通しのよい道路上でフンをしたり、エサを食べたりする習性がある。そのため夜間、交通事故に遭いやすい。また、秋から冬にかけて繁殖期に入るため活動的になり、道路上に出てくることが多くなるという。

 同事務所によると、昨年1年間のアマミノクロウサギ交通事故は奄美大島で過去最多の50件、徳之島では過去2番目に多い16件の計66件。2015年19件、16年25件、17年34件、18年40件、19年38件と推移していたが、20年は残念ながら大きく増加した。ケナガネズミなどの事故も発生しているという。

 奄美大島ではアマミノクロウサギの交通事故数が年々増加傾向にあり、近年はこれまでの事故多発路線上での事故増加に加え、事故が少なかった国道・県道・林道上でも発生するようになったという。近年、事故の増加が顕著に多い車道は、奄美大島では県道79号線や湯湾岳周辺の林道、網野子峠線、県道85号線、三太郎線周辺。徳之島では県道松原轟木線など。クロウサギなどの交通事故が多発している地点には、警戒標識などが設置されており、同事務所は特に注意を呼び掛けている。

 急増した理由は不明だが、近年の増加傾向の要因としては野生生物を襲うマングースなどの駆除が進んでいることにより、クロウサギの生息数が回復したことが考えられる。

 早瀬穂奈実国立公園管理官は「林道だけでなく、スピードの出やすい国道・県道でも事故が発生している。一人ひとりが気をつけて、どこでもクロウサギが飛び出してくるという意識で、夜間はゆっくり運転してほしい」と訴えている。

 同事務所はアマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーンの一環で、より住民や観光客の目にとまるよう、ティッシュボックスカバー(紙製)を作成し、設置協力を呼び掛けている。市販のボックスティッシュに被せるだけで、何度でも使える。「店舗や施設の受付や待合室、レジカウンターやテーブルなどに置いてほしい」とのこと。協力できる人は奄美野生生物保護センター電話0997・55・8620まで。

 また同事務所は、20年もイヌやネコによるよると思われるかみ傷のあるクロウサギやケナガネズミの死体も確認されていると報告。イヌは放し飼いをしない、ネコは室内で飼うなど、イヌやネコの適正飼養も併せて訴えている。

 同センター、徳之島管理官事務所では、アマミノクロウサギなど希少種の死体情報を集めている。傷ついたり、死んでいる個体を見つけたら連絡するよう、協力を呼び掛けている。ケガであれば、早めの対応によって動物が助かる可能性が高まるという。傷病鳥獣や事故の情報は、奄美野生生物保護センター電話0997・55・8620、徳之島管理官事務所電話0997・85・2919まで。