城南海さん「ラジオ深夜便のうた」各地のリスナーを癒やす

「産声」のジャケット写真=㈱ポニーキャニオン提供

関係者から反響続々

 【東京】城南海さんの歌声が、深夜に各地のリスナーを癒やした。ラジオやスマホを通じて聴く者を優しく包み込み、コロナ禍という非日常の暗闇を照らすようだった。彼女の紡ぎだした歌の印象を、関係者の声で集めた。

 歌声が流れたのは、NHKラジオ深夜便の「深夜便のうた」のコーナー。森山直太朗さんが城さんのために作詞作曲した「産声」がそれだ。午前1時50分ごろ、母親のような深い慈しみに満ちたバラード調で子守唄にも聴こえる。約3分間の深夜の物語が、昨年12月から毎夜紡がれたのだ。

 大みそかにかけての深夜、同番組に出演した城さんは三味線を演奏、シマ唄や奄美の魅力をアピールした。司会を務めた大澤祐治ディレクター(元アナウンサー)は「想像していたよりも小柄な方でしたが、ひとたび歌い始めると穏やかな語り口からは思いもよらない声量と透き通るような伸びのある歌声に圧倒されました。城さんの唄う朝花節に囃子をいれさせていただいたのが、楽しい思い出になりました」と振り返った。

 同局広報局広報部に男性アンカーから感想が寄せられた。「曲の冒頭、無伴奏で歌う城南海さんの歌声に、『宇宙で泳ぐ』空間を感じます。張りのある歌声が魅力の城さんが、あえてウイスパーで誘う歌の世界がとても魅力的。さらにエンディングではタイトルの『産声』というキーワードの前の長い静寂もまた、宇宙を泳ぐような無限の広がりを感じさせてくれます」。女性アンカーも「魅力的という言葉で言い表せない奥行きを感じる」と絶賛し、「大きな翼で包み癒やしてくれる、女神のささやきではないか…そんな気もしています」とも。

 副調整室のスピーカーから流れてくるという「産声」に、男性ディレクターは「暗い海の中を漂う静かな流れに任せるように感じる城さんの曲は、残り3時間へ向かう『心休まる折り返し地点』のようだ」とコメントを寄せた。「深夜便のうた」は、大人が口ずさめる歌を発信しようと、2006年に始まり、2カ月に1曲新曲をリスナーに届けている。20年は藤井フミヤさん、加藤登紀子さんらが歌声を披露している。

 反響の一方で、城さんは、アーティストとして不自由な時を強いられている。延期され、この春から始まる「ウタアシビ」ではファンと自身を奮い立たせるよう、ステージに向かう。