光センサー選果委託の申込増加

 光センサーによる選別が行われている奄美大島選果場。共販と選果委託は一日交代で行われており、今月4日の委託量は約8トンだった

選果委託で貼ることができる「光センサー選別」シール。選果場利用を証明する

タンカンバラつきなく品質保証 島外流通「選果場通しを」
データ基づいた販売可能

 特産果樹タンカンの集出荷開始により奄美市名瀬朝戸にある奄美大島選果場にも収穫された果実が持ち込まれている。選果場を管理運営するJAあまみ大島事業本部によると、今年度産の取扱目標は農協共販量で130トン、委託量(選果委託)111トンで、選果委託申込の増加が著しい。整備されている光センサー選果機を利用することでバラつきのない品質保証が可能となることから、選別の優位性が認識されつつある。

 同選果場は出荷窓口の一元化を目指し、奄美群島振興開発事業(奄振)のソフト事業を活用し整備された。総事業費は2億9850万円。光センサー選果機では、果玉1玉ごとに糖度やクエン酸など内部品質が瞬時に測定できるほか、外部の傷を測定する機能も備えている。

 同選果機を通すことで客観的なデータに基づいた販売(商品の区別化)が可能となることから、昨年から地元市場(名瀬中央青果)にも選果委託されたタンカンが出荷されている。「光センサー選別コーナー」を設け、奄美大島選果場利用を示したところ、競りで値段をつける仲買人が光センサー選別の方に高値をつけ、区別化が図られた。こうした市場での評価が選果委託の申込増につながっているとみられている。なお、前年度産の選果委託の実績は76・9トンだった。

 奄美市住用町の果樹農家・元井孝信さんは、今年度産では約30トンを計画するなど大口の選果場利用者の一人。元井さんは「開設以来、ずっと選果場を利用しており、光センサーを通したものを持ち帰り販売している。外観がきれいで秀品(糖度11度以上、外観Aと等級で最高)と思った果実が、センサー測定で糖度が10度以下だったことがある」と語り、「購入するお客さんの口に入るものであり、失敗(購入した果実の当たりはずれ)は許されない。光センサーを通すことで商品のランクづけ(品質保証)によりバラつきが解消できるだけに、島外に流通するものは全て選果場利用(光センサー選別)にすべきではないか」と指摘する。

 産地の信頼を高め、「奄美たんかん」のブランド化のためにも選果場利用の取り組みが求められそうだ。JAでは利用を示す「光センサー選別」シールも準備している。

 選果場の管理運営で赤字とならない収益の分岐点は、取扱量(選果場利用量)250トン。倍近い450トンの取扱に対応できる機能を備えているだけに、整備に関係した行政機関は「利用量が低迷すると不必要な公共施設と判断されてしまう。規模に関わらず、多くの生産者が選果場を利用し有利販売だけでなく、データを活用しての生産安定に役立ててほしい」と呼びかけている。