「住民が保護・監視役に」

絶滅危惧が高まっている徳之島固有種の保護に関する集落説明会(現地視察)=26日午前、伊仙町西部

 

 

環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類「オオアマミテンナンショウ」(資料写真)

 

 
集落説明会で緊急アピール
希少種保護へ環境省と伊仙町

 

 【徳之島】環境省徳之島管理官事務所と伊仙町は26日午前、徳之島固有種で絶滅危惧植物の一つ「オオアマミテンナンショウ」に関する住民説明会を同町西部地区の集落で開いた。世界自然遺産登録への取り組みや同種の希少性などを説くとともに、現地観察も交え〝足元の宝〟の保護・監視を緊急アピールした。

 環境省同事務所によると「オオアマミテンナンショウ(大奄美天南星)」(サトイモ科テンナンショウ属)は、アマミテンナンショウに比べて大型で緑が濃い。徳之島のみに分布(低地の石灰岩の崖、林縁に生育)する。環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来、野生での絶滅危険性が極めて高い)に分類。徳之島3町希少種条例指定種にもなっている。

 琉球石灰岩層に育まれた伊仙町西部地区の限定的なエリア(3年前天城町内の1カ所でも確認)で確認。だが、同町西部地区では今春の開花期になって特に、西部地区の公共施設や観光名所敷地内でこれまで自生が確認されていたオオアマミテンナンショウが、根こそぎ姿を消すなど激減。盗掘・盗採など外圧のほか、地元住民たちの認識不足による環境整備時の刈り払いや除草剤散布など被害も懸念していた。

 集落施設であった説明会には住民ら15人が参加。まず環境省事務所の福井俊介管理官が「世界自然遺産と伊仙町西部地区の自然」で講話。地質(琉球石灰岩層)などデリケートな自然環境に育まれ、今や絶滅危惧トップにあるオオアマミテンナンショウの特徴。隣接する奄美群島国立公園(第1種特別地域)の概要についても説明した。

 質疑で住民からは「じつは自宅周辺にも生えている。以前は雑草だと思って刈り取っていた。今後は、薬(除草剤)も撒(ま)いたりせず、希少植物など自然を大事にしたい」の感想も。福井管理官は「耕作地化などでどんどん数を減らしてきたと思われ、その中で生きながらえた場所がここ。気づきでこの種を見守って欲しい」ともアドバイス。

 このあと、徳之島エコツアーガイド連絡協議会長・美延睦美さんの案内で現地観察会も。美延さんは「世界中でここだけに自生し、ここから無くなるということは地球上から無くなるということに」。そして「(価値を)知らないと守れない。みなさんが監視役となって、知らない人がいたら声をかけて欲しい」とも協力を求めた。