WEBで「群島成長戦略プロジェクト推進会議」

WEBで行われた会議の模様と、国交省による奄美群島のメインビジュアル

コロナ禍での新しい観光あり方課題 「小規模旅行ターゲットに」

 【東京】国土交通省は同省と奄美自治会館などを会場に5日、「第2回奄美群島成長戦略プロジェクト推進会議」を開いた。同省、鹿児島県及び奄美群島広域事務組合が昨年取りまとめた世界自然遺産登録を見据えたロードマップの進捗状況を把握するとともに、新型コロナウイルスによる影響等の課題についてWEB形式によるもの。参加者らは、活発な意見を交わしていた。

 同会議は、奄美群島の持続的な発展に向けた取り組みを支援するもの。有識者と共に、世界自然遺産登録を見据えた群島全体の「受け入れ態勢の構築」「自然保護と観光」「戦略的な情報発信」等について検討している。19年6月、霞が関の国土政策局会議室で第1回の会議を開き、ロードマップ策定までの進め方などを協議している。この日WEBでの会議には、国、県、奄美群島広域事務組合の協力で、奄美からサイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授、奄美群島振興開発基金の本田勝規理事長が参加。ほかに、志學館大学人間関係学部の原口泉教授ら計5人が委員として顔をそろえた。

 事務局は、自然保護と観光の両立の調査課題について、ロードマップに沿った取り組みを紹介。その後、コロナ禍での新しい観光の在り方の検討として、接触機会を減らしたガイド手法、集落の魅力の伝え方、観光客をどこまで受け入れるべきかなどが課題として挙がった。また、持続的観光の推進を担う人材の確保と育成も課題で、古老の活躍の場の提供、エコツアーガイドの技術向上、登山ニーズにも対応できる若手ガイドの育成などが報告された。

 それに対してリスクマネジメントができている奄美をアピールすること、奄美の不便さを前面に出して魅力を訴えるといった意見が、今後の方向性として紹介された。出席した委員からは、「家族旅行や大学のゼミといった、小規模旅行をターゲットにするのもいいのでは」の提案や「奄美のガイドは少人数の相手に、どれだけ楽しんでもらえるかをとても勉強している」との感想も聞かれた。そうした一方、「認定ガイドの社会的地位の上昇」を求める声があり「給与も含め検討する課題だ」との意見で一致していた。

 事務局からはコロナで仕事に就けない事務系の優秀な人材の活用、観光に今まで関わらなかった女性、高校生、高齢者の活用などの提案もされた。また、奄美群島のイメージカラーを基にした、メインビジュアルが報告された。なお次回の同会議は、予算などの関係で未定となっている。