奄美大島世界遺産管理拠点 住民説明会

奄美大島世界遺産管理拠点 住民説明会

施設の外観や展示内容などの説明があった

森の疑似体験を
環境省 22年8月オープン目指す

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は30日、(仮称)奄美大島世界遺産管理拠点施設の建設にかかる住民説明会を、奄美市住用町の「黒潮の森マングローブパーク」で2回行った。午後3時から始まった第1回目の説明会には、住民ら約20人が参加。建物は今年7月ごろ着工、22年4月完成、その後開館準備を行い、同年8月ごろ施設オープンを目指す。

 同省では「奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島」の世界自然遺産登録に向け、奄美大島では同施設の設計を進めてきた。世界自然遺産登録推薦地の顕著で普遍的な価値への理解・共感を広げ、未来へ継承することが目的。同施設の建築の設計がまとまったため、住民説明会を開くこととなった。同省は同施設の建設と展示等に総事業費約7億5千万円を計上している。

 説明会の内容は▽同施設の役割▽同施設の建物、展示▽同施設の運営・スケジュール―の3点。

 同施設の役割について①世界自然遺産の適正な利用促進と普及啓発の拠点②世界自然遺産・国立公園を守る保全管理の拠点施設―の二つを挙げた。特に、観光バスなどマス観光の受け入れ施設として、地域全体への遺産登録の波及の推進、質の高い観光の実現と利用者満足度の向上を目指す。

 同施設はマングローブパークの敷地内北側に位置し、延べ床面積約610平方㍍の木造平屋建て。展示室は約318平方㍍で、他にエントランスホールや販売店舗などがある。切妻屋根でグレーを基調とし、開放的な設計とした。

 マス観光の客は原生林などへの立ち入りが難しく、濃密な自然の魅力に触れる機会が少ない。このため、展示室では「濃密な生きものの気配に触れるフィールドの感動・興奮を再現」させることを目指し、奄美の森をジオラマと大画面映像で再現。壁面に五つの大画面映像を流し、夜明け、昼、夜の森を再現し、入ってきた人が自由に歩いて30分で森の一日を体感する。また、生きものを探して観察体験できるようなじゅう器を配置する。

 施設の管理運営は、地元自治体等による協議会が基本的な施設の運営を担うことを検討中。同省は建物の維持管理や国立公園の保全管理を行う。また、物販店舗は事業者を21年12月ごろ公募する予定。

 建物はこれから工事公募を行い、7月ごろ着工、22年4月完成予定。その後開館準備を行い、22年8月に施設オープンを目指す。

 参加した住民からは「展示は奄美野生生物保護センターや奄美博物館などとかぶらないようにしてほしい」などの意見が出た。

 同省国立公園保護管理企画官の二神紀彦さんは「せっかく奄美に来たのに、世界自然遺産になった価値に触れることなく帰る方が多いので、疑似体験を通して知ってもらい、今度また来たときにはガイド同行で森に入ろうと思ってもらえる施設にしたい。展示の設計など、住民の方から出た意見は取り入れられることは取り入れていきたい」と語った。