奄美群島初の「介護医療院」新設

大島郡医師会病院に新設さえた介護医療院の準個室。利用者の状況に沿った医療、介護サービスを提供する(提供写真)

 

回復期リハビリ病棟も
ターミナルケアの充実など期待
大島郡医師会病院

 

 奄美市名瀬小宿の大島郡医師会病院(眞田純一院長)は1日から、新たに病棟内に介護医療院(18床)と回復期リハビリテーション病棟(28床)を新設した。介護医療院の開設は、奄美群島の医療機関では初めて。「医療」と「介護」を兼ね備えた施設として、入院治療後も長期療養が必要で、在宅ケアが困難な高齢者などの受け皿となることが期待される。眞田院長(69)は「看取りなどのターミナルケアも含め、最期までその人らしい人生を送れる施設として、地域の医療、介護環境の充実につなげたい」としている。

 同病院では、団塊世代が75歳を迎える「2025年問題」の解決策として国が進める医療・介護連携の方針に沿い、約2年前から病床機能転換を計画、介護医療院とリハビリ病棟の開設に向け準備を進めてきた。

 同病院によると、入院治療を終えても、痰吸引やチューブなどを使った経管栄養が必要な患者はこれまで、病院内の療養病棟で入院生活を継続して受けていた。こうした長期療養が必要な高齢者などの新たな受け皿となるのが介護医療院で、同病院では4階東側半分のスペースを改修、4人部屋をパーテーションで区切り準個室として2人で使用するようにした。既に18床(うち個室2床)中、16床で高齢者らを受け入れている。

 眞田院長は「従来の病室に比べスペースが広くなり、より家庭的でプライバシーを重視した環境を提供できるようになった。看取りなどのターミナルケアを希望する人、在宅復帰に向けて準備が必要な人など、個々の介護状況を見ながら、細やかな支援につなげたい」などとしている。

 回復期リハビリテーション病棟の開設は、奄美大島の医療機関では初めてで、リハビリ室などを備えた5階部分に新設した。眞田院長は「回復期リハビリの病床は全国的に不足している。医師会病院は以前よりリハビリ治療に力を入れており、回復期病棟の開設により理学療法士を増員するなどリハビリ環境を充実させた。今後リハビリ医療分野でより大きな貢献を果たしていきたい」などと抱負を語った。

 介護医療院、回復期リハビリ病棟の開設に伴い、病院全体としては188床から159床に病床数が減少したことについても、眞田院長は「奄美地域の病床数は全国平均に比べ約900床(10万人当たりの病床数)多く、急速に進行している人口減少に対応するためにも妥当な措置」として、理解を求めた。