植物移動規制

ポスターを掲げて植物の持ち出し規制の理解を図り、病害虫まん延防止への協力を呼びかける植防の検疫官

19日から第1回広報強化週間
取締実績、カンキツ生茎葉が最多

 植物防疫法に基づく植物等の移動規制の2021年度第1回広報強化週間が19日から始まる。農林水産省門司植物防疫所名瀬支所(白石昭徳支所長)ではポスターやチラシ、リーフレットなどを通して周知を図っている。前年(20年1~12月)の移動禁止植物取締り実績(奄美群島内・速報値)では、品目はカンキツ生茎葉が最多となっており、果実の持ち出しは葉を除去すれば可能なことから理解を求めている。

 奄美群島以南には、サツマイモなどに大きな被害を与えるアリモドキゾウムシ、野菜類全般を食害するアフリカマイマイなどの特殊な害虫が発生。また、徳之島以南の各島には、カンキツ類に大きな被害を与えるカンキツグリーニング病が発生しており、これらの病害虫が付着する植物等は、発生地域からの移動が法律で規制されている。

 名瀬支所では、こうした病害虫が本土などの未発生地域にまん延することを未然に防止するため、海空港で取締りと広報に努めているが、依然としてカンキツ類の苗木、サツマイモなどを移動しようとする事例は少なくない。そこで住民、旅行者などに植物の移動規制について周知を図ろうと「広報強化週間」を年3回設け、全国一斉に広報活動を行っている。人の出入りが活発になる大型連休を前にした第1回広報強化週間は23日まで実施される。

 名瀬支所の白石支所長は「市町村を始め地元の理解が第一であり、連携して取り組んでいきたい」としている。新型コロナウイルス感染拡大の関係で空港などでの広報活動を見送っている中、市町村広報誌(紙)を通しての啓発にも取り組んでいる。

 20年の取締り実績は、いずれも携帯品の48件。品目別内訳はサツマイモ生塊根2件、カンキツ生茎葉45件、カンキツ苗1件となり、タンカンなどの果実の持ち出しで枝葉がついていたため移動禁止となったものが全体の94%とほとんどを占めた。カンキツグリーニング病発生地からは、カンキツの苗、枝葉は持ち出せない。果実の葉を除去すれば持ち出せることから、植防では注意を呼びかけている。