世界自然遺産登録勧告 奄美大島5市町村長会見

世界自然遺産の登録勧告をうけ開かれた奄美大島5市町村長の会見

正式決定に向け決意新たに
希少種の保護活動など推進

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産への登録がふさわしいとする勧告を行ってから一夜明けた11日、奄美大島の5市町村長が共同会見を開き、改めて勧告を喜ぶとともに、7月に予定されている世界遺産員会での正式登録に向けた決意を新たにした。

 奄美市の朝山市長は会見冒頭、2018年に登録延期の勧告を受けたことなどに触れ「5市町村が一丸となって環境保全や観光活用法など様々な課題に取り組み、IUCNから与えられた課題に真摯に向き合ってきた結果」などと述べ、「7月の世界遺産委員会において、遺産登録されるよう関係機関とさらなる連携を図っていく」と、正式決定に向け、これまで以上に自然保護に取り組む意向を示した。

 4町村長もそれぞれに、勧告への思いを発表。大和村の伊集院幼村長は「環境省をはじめとする関係機関の努力により吉報が寄せられたことは大きな喜び。自然保護活動や外来種駆除などの取り組みを行ってきた成果。今後も地域住民を含め、しっかりと取り組みを進めていきたい」とあいさつ。

 宇検村の元山公知村長は「湯湾岳周辺のハイビスカスについては800本以上を伐採したことも、勧告につながったのではと思うと、一安心している。これからもしっかりと登録に向けて取り組んでいきたい」と、同村としての取り組みを評価した。

 瀬戸内町の鎌田愛人町長は「コロナ禍で気持ちが沈んだ中、奄美、日本にとっても良い知らせを聞くことができうれしく思う。決定後に進められる世界自然遺産の拠点施設整備や体制づくりなどに向け環境省や関係機関5市町村の連携を強めていきたい」と、登録後を見据えた。

 龍郷町の竹田泰典町長は「先人が守り育てた奄美の自然をこれからもしっかり世界にアピールできるようにしていきたい。世界遺産委員会で登録が決定するまで気を緩めることなく頑張っていきたい」と正式決定に向けた決意を示した。

 このほか、勧告で指摘されたアマミノクロウサギなどの希少種保護の取り組みなどについて、元山村長は「ロードキル対策や外来種駆除、金作原や住用町の市道三太郎線周辺の利用ルールの施行、出前講座による啓発活動などを継続し、自然保護への島民の機運づくりに取り組んでいきたい」などとした。

 また、7月に予定されている世界遺産員会について、朝山市長は「登録の歴史的瞬間を全ての人と共有したい」とし、市役所2階ロビーで同委員会の様子を伝えるインターネット中継をパブリックビューイングで視聴する考えを示した。