広がりを見せる「奄美モデル」

予診票相談窓口であることを示すポスターと奄美薬剤師会会長の岡村芳和さん=ひまわり薬局=

高齢者ワクチン県全域に拡大・介護とも連携
薬剤師が予診票記入や相談対応
お薬手帳を忘れずに

新型コロナウイルスワクチン接種が進むにつれて、高齢者の間で予診票記入の難しさが課題となっている。県薬剤師会は14日、薬局の窓口で薬剤師が予診票の記入や相談に応じると発表。5月20日現在、県内840カ所の薬局でサポートを受けることができる。この取り組みの先駆けとなったのは、奄美薬剤師会。同会会長の岡村芳和会長は「奄美モデルが広がりを見せている」と笑顔で語った。

岡村さんは奄美市でコロナワクチンの先行接種が始まる5月3日に備え、奄美市と連携して4月8日から奄美市内のかかりつけ薬局で予診票記入のサポートや各種相談を受け付ける取り組みを開始し、これを「奄美モデル」と名付けた。「現場にいる医師や看護師、行政の負担を減らしたい」というのが目的だったという。

この取り組みが新聞などメディアに取り上げられ、全国各地から取材依頼が殺到するように。それらの記事が県くらし保健福祉部の目にとまり、新型コロナウイルス感染症対策室から県薬剤師会に予診票記入支援の依頼があったという。

県から支援依頼を受けたのは先月26日。しかし、既に22日の県薬剤師会の理事会で「奄美モデル」を県全域に広めることが決まっていたため、話はとんとん拍子に進んだ。28日にはYouTube Liveにて事業説明会を行う旨を同会会員薬局に通知し、5月10日に同説明会を実施。予診票記入の支援方法や高齢者がつまずきやすいポイント、声掛けの注意事項などを発信した。そして14日、県からの発表に至ったという。

また現在、県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界支部や奄美大島介護事業所協議会などとも連携を取っており、居宅要介護者のワクチン接種を担当する介護支援専門員からの相談にも応じているという。

岡村さんは「ここ1カ月で予診票の相談に来た人は、少なく見積もっても60人以上」と話し、「みなさん喜んでくれるのでやってよかった」とほほ笑んだ。

これから接種を受ける人には「遠慮なく、何でも話してほしい。気軽に薬局の門をたたいてもらえたら。お薬手帳も忘れずに持ってきて」と呼び掛けた。

予診票の相談窓口となっているかかりつけ薬局にはポスターが掲示されているので、利用する際はそれを目印に訪問を。