嘉徳川が白濁「原因調査を」

白く濁った水が流れる嘉徳川(6月21日撮影)=提供写真


県大島支庁で要望書を手渡す新村代表(右)

リュウキュウアユ研ら 生態系などへの影響懸念
大島支庁に要望書提出

 6月中旬ごろから瀬戸内町の嘉徳川で白濁した水が川を覆っている。リュウキュウアユ研究会(新村安雄代表、神奈川県藤沢市)らは29日、奄美市名瀬の県大島支庁を訪れ原因調査や対策を望む要望書を提出。同日、記者会見を開いた新村代表は周辺環境や生態系への影響を懸念し「白濁が続くとリュウキュウアユのエサになる藻などが育たず、遡上を忌避する可能性もでてくる」など危機感を訴えた。

 白濁がわかったのは今年6月19日。地元住民の連絡を受けて川を訪れたところ、嘉徳川の上流から下流までを白く濁った水が川を覆い流れていた。

 同研によると、21日に採取した水で行った透視度検査では、通常40㌢以上見える水の透視度も4・5㌢まで低下。水産用水基準の「懸濁物質」換算では、サケやアユの生育条件といわれる5㍉㌘・㍑の40倍にあたる202㍉㌘・㍑の高濃度な濁りを計測した。

 白濁した水は、嘉徳川上流の立入禁止区域のさらに上流から流れているが、発生源や原因などについてはまだわかっていない。環境省なども状況は確認。濁りはやや治まっているものの、白濁の発生は現在も続いているという。

 この日は同研のほか、フィールアマミ(武久美代表、瀬戸内町)、奄美の森と川と海岸を守る会(ジョンマーク高木代表、同)らが大島支庁を訪れた。3団体2個人の連名で印南百合子大島支庁長宛てに要望書を提出。要望は、▽発生原因の特定と速やかな対策▽濁水を水産用水基準の5㍉㌘・㍑まで処理を行う―の2項目。対応した同庁総務課担当者は「担当部署があれば相談していきたい」と回答した。

 新村代表は「不安に思う住民も多く、環境保全の観点からも調査をお願いしたい」など要望。同研は今後、専門機関による水質分析も行う予定だという。