たん吸引の技術や知識学ぶ

喀痰吸引や障がい者福祉などについて講義が行われた県の第三号研修

介護職員ら対象に実地研修
ALS協鹿児島支部

 介護職員等が重度障がい者や要介護者らのたんの吸引を実施するための資格取得に必要な、「喀痰(かくたん)吸引等研修事業第三号研修」が30日、奄美市の県立奄美図書館であった。島内の在宅介護などを行っている事業所の介護職員ら約20人が受講、たん吸引の技術や障がい者支援に関する知識などを学んだ。

 研修は「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき、医師、看護師等との連携のもと、安全にたんの吸引等を提供できる介護職員等を養成することを目的に、県の委託を受けた日本ALS協会鹿児島県支部が実施。障がい福祉制度の概要や喀痰吸引制度の成り立ち、重度障がい者(児)への理解などについての講義と実際にたん吸引の実習が31日までの2日間に渡り行われる。

 初日となった同日は、障がい者福祉制度などについて、宇検村社会福祉協議会の浅尾晋也保健師が講義。発達障がいや高次脳機能障害、ALSなどの難病疾患が介護保険制度と障がい福祉制度の谷間に置かれ、支援が行き届かなかった現状などを学んだ。浅尾さんは「重度障がい者などの在宅介護では、24時間休みなく介護する必要があり、家族の負担も大きく、患者も介護する家族も共倒れになりかねない」などと指摘。喀痰吸引の資格を持つ介護職員の役割の重要性などを指摘した。

 日本ALS協会鹿児島県支部の里中利恵事務局長は「奄美は在宅医療を希望する障がい者や難病疾患者も多く、喀痰吸引等研修を受けた介護職員らが、医療行為である喀痰吸引を担えれば、家族の負担も軽くなる。一人でも多くの人に、確かな技術と知識を持ってもらいたい」と話した。

 受講者は2日間の研修後、筆記試験に合格すると3年間(更新研修あり)の資格が与えられる。