秋名田袋にナベヅル飛来

西康範さんが撮影したナベヅル

絶滅危惧種 台風通過後も元気に活動

野鳥の観察地でもある龍郷町秋名の田袋でこのほど、4羽のナベヅルの飛来が確認された。奄美市名瀬の西康範さんが撮影に成功。本来は出水平野へ飛来するが、迷鳥として奄美でも目撃されることがある。

『奄美の野鳥図鑑』(NPO法人奄美野鳥の会=編)によるとナベヅルは、体は黒っぽい灰褐色で頭部と頸は白色、頭頂は赤色と黒色。虹彩は赤く、くちばしは黄褐色で足は黒色。ロシアや中国で繁殖する世界中のナベヅルの大半が、冬に鹿児島県の出水平野へ越冬のために飛来しており、その渡りの途中のものやコースから外れたものが時折ほかの地域でも観察される。

同書は、奄美へもこのような個体が立ち寄ることがあると紹介。集落の人は、「今月26日から田袋に3羽と秋名の海岸に1羽が来ており、合流して4羽が水田地帯にいる。台風22号の通過後も4羽が田袋の同じ所にいた」と話した。

写真を撮影した西さんは、「27日に来ていると聞いた。今回、初めて撮影に成功した」。奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長は、「今年は、喜界島や与論島でも目撃されている。このまま奄美で越冬するか分からない。見かけたら静かに見守ってほしい」と語った。

鹿児島県と山口県の渡来地は、国指定特別天然記念物、絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。