奄美大島の自然環境学ぶ

講演会で奄美の動植物や自然について解説した常田さん

「フィールド入って観察して」

 

常田さん阿木名小中で講演

 

 瀬戸内町の阿木名小中学校(草留久之校長、児童49人生徒28人)は13日、2017年度森林の体験活動支援事業の一環として、ミニ講演会を開いた。NPO法人奄美自然環境研究会の会長で自然写真家の常田守さん(64)による、奄美大島に生息する希少な動植物についての講話を通じて、同島の自然環境について学んだ。

 同校は16年度から県の委嘱を受け、森林環境税を活用した森林体験活動を推進している。PTAと協力し、親子で山野に自生する植物に着目することで、世界自然遺産登録前に郷土の自然の素晴らしさを子どもたちに再認識させる活動を実施。これまでに、学校敷地内の樹木への名札付けや、シイタケのこま打ち体験、砂防ダムの見学などを行った。

 この日の講演会には全校児童生徒のほか、保護者や地域住民ら約30人も参加。奄美の自然の特徴や課題などを学んだ。

 講演の中で常田さんは奄美大島の希少な動植物について種別に解説。奄美の森が松枯れにより、シイの木などの常緑広葉樹の森に戻りつつあること、生態系がシイの木を中心に構成されていることなども紹介した。

 また、伐採による表土の流出により、奄美市住用町にあったオキナワウラジロガシの巨木が倒れたことや、盗掘や外来種の侵入などの問題点を指摘。常田さんは「奄美の動植物は大陸で絶滅したものの生き残り。奄美で絶滅すると世界から消える種が多い」と重要性を力説した。講演の締めくくりには子どもたちに「面白いテーマが多く存在するのが奄美。観察することで世界が広がるので、自分のテーマを決めてフィールドに入ってください」と呼び掛けた。

 講演終了後に同小6年の有田龍生君(12)は「森の植物が盗まれているということなどは初めて知った。世界自然遺産登録を機に多くの人に奄美の自然のことを知ってもらいたい」と話した。また、同中3の義村修斗君(15)は「問題点も含め、奄美の自然がどういったものかを知ることが出来て良かった。今回の講演で興味がわいたので、自然散策ツアーなどを利用し、自分も山に入ってみたい」と語った。