奄振交付金予算確保など要望

金子衆院議員とともに、農林水産省の森山大臣に要望書を提出する伊集院会長を始め奄美の関係者

市町村長会・議会議長会 概算要求前に
ミカンコミバエ再侵入防止対策も

 【東京】奄美群島市町村長会(会長・伊集院幼大和村長)と奄美群島市町村議会議長会(会長・安和弘瀬戸内町議会議長)は28日、8月末の来年度予算概算要求を前に、奄美群島振興開発の推進に関する要望活動を中央関係省庁に行った。「奄美群島成長戦略ビジョン」の実現に向け、雇用の創出に重点を置いた産業振興を推進するとともに、産業基盤および社会資本の整備による安全安心な定住環境整備を推進していく考え。それらを実現するため、奄振交付金予算の確保や、産業基盤および社会基盤の整備推進などを求めた。

 要望は①奄美群島の自立的発展に向けた振興開発の推進について②環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への適切な対応③重要病害虫ミカンコミバエ種群防除へ向けての適切な対応④独立行政法人奄美群島振興開発基金の充実について⑤奄美群島の地理的不利性に起因する不利性解消などについて―の5項目。そのうち、①については航路航空路運賃軽減にかかわる予算および制度の拡充や農林水産物輸送コストの低減に関わる予算の確保などを引き続き要望。世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」において、登録に向けた取り組みを早急に進めるよう求めた。

 また、港湾設備の推進として、奄美群島の安定した海上輸送を確保し、観光振興による交流人口の拡大を図るため、名瀬港における国直轄事業による岸壁や防波堤の整備推進を要望。合わせて、泊地・護岸などの維持管理計画策定も新たに交付対象とするなど、交付金制度の拡充を求めた。

 このほか、産業振興促進計画に基づく税制上の特別措置が今年度末で期限切れとなることから、奄美群島における国税(所得税・法人税)の割増償却制度と、地方税(事業税・不動産取得税・固定資産税)の課税免除または不均一課税に伴う地方交付税補てん措置の延長も要望した。

 ③については、昨年12月にミカンコミバエ種群の緊急防除に関する省令が施行(今年7月14日解除)されたことから、今後もポンカンやタンカン、スモモ、マンゴーなどの特産果実類を全国に届け、奄美群島の農業を守るため▽根絶後も引き続き、再侵入防止に向けた対策に要する人員体制や予算の確保、初動対応の検証など必要な措置を講ずる▽風評被害による奄美農産物の価格下落などが生じないよう支援策を講じる▽今後、ミカンコミバエの再侵入が確認された場合には、地元自治体と連携し、きめ細やかな住民への情報提供に努める―の3点を要望した。

 要請団は金子万寿夫衆院議員とともに国交省や農水省、環境省など関係省庁を訪問、要望書を手渡した。農水省の森山裕大臣は「ミカンコミバエ問題は永遠の課題」とした上で、薬やテックス板の備蓄や、トラップ増設による対策などに取り組むとし、「久々に奄美の視察に行けてよかった。対策のための補正予算を確保できるようにしたい」などと語った。

 伊集院会長は「農業整備予算の確保やサトウキビの単収増に向けた取り組み、農作物の輸送に関することなどを要望。ミカンコミバエ対策についても、今後も我々と協力して取り組んでいくということが確認できた」とした。