龍郷町芦徳・集落浜辺で散策会

「ミツバハマゴウ」を観察する会員と當田指導員(写真左端)

自生する在来種観察
地域に残る食生の価値認識

 奄美の文化や伝統の継承に取り組む、市民団体「HUG奄美」(里井つとよ代表、会員約50人)は28日、龍郷町芦徳で自然散策会を開いた。「浜辺の植物を見てみよう」をテーマに、会員は沿道の植生や芦徳湾岸に自生する在来種などを観察した。

 会員や一般の7人が参加。日本自然保護協会自然観察指導員で、同町大勝の當田嶺男さん(77)を案内役に芦徳港から芦徳集落まで約1・3㌔を歩いた。

 當田さんは、芦徳集落周辺で確認できる植物約70種のリストを手に、植物の特長や生態を説明。この日だけで、高さ約10㍍の「アカテツ」、砂浜に広がる「グンバイヒルガオ」、樹木に寄生した「テリハノブドウ」など、30種以上の植物を観察した。

 浜辺に自生するミツバハマゴウを前に、當田さんは「分布北限が奄美大島で、淡い青紫色の小さな花が咲く在来種。浜の近くで見られる」と解説したほか、ホテイチクや雑草の中に外来種が繁殖している状況についても講話。参加者は真剣な表情で聞き入った。

 同団体によると、芦徳集落を通る町道拡幅整備事業がスタートしたのを受け、沿道の植生の価値を知ってもらおうと集落での観察会を企画したという。里井代表は「外来種と在来種を見極め、地域に残る植生の認識を深めることは大切。今後も自然環境の保全について学ぶ機会を設けたい」と話した。