エコツアー講習

ガイド技術を実演しながら講義

5月に認定ガイド誕生
講師招へい顧客満足度「役割大きい」

奄美群島エコツーリズム推進協議会(会長・朝山毅奄美市長)は27日、奄美市名瀬の奄美会館で奄美群島エコツアーガイド認定講習会を開催した。受講者は認定ガイドを目指し、熱心に講義を聞いてワークショップなどに取り組んだ。5月に今回の認定講習の続きが行われ、奄美群島認定ガイドが誕生する。

今回の認定講習会は、同協議会が1月26日に定めた「奄美群島エコツアーガイド認定制度」によるもの。同制度は、世界自然遺産登録により観光客の増加が予想されることと、自然環境を保全しながら持続可能な利用対策のため制定。認定ガイドの要件の一つとして、2・5日間の認定講習の受講が必要とされる。今回行われる認定講習会は、その中の実践編のガイド技術(エコツーリズム論・リスクマネジメント・資源管理・事業運営等)の1・5日の認定講習。29・30日にも同内容の認定講習が実施される。

27日からの認定講習には、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会(喜島浩介会長)などに所属するガイド26人が参加した。27日の認定講習では、実際に知床・屋久島・軽井沢などでエコツアーガイドとして活躍する講師が招へいされた。各講師から、奄美群島におけるエコツーリズムや軽井沢、屋久島や知床などのエコツーリズム事業の実際など説明。エコツーリズムに必要な要素について▽自然志向の旅行である▽地域の自然環境を保護する▽地域社会の雇用機会や地域住民の生活を高める▽持続可能である―とした。

一方で講師から、世界遺産は一過性で知床、屋久島、小笠原などでも観光客は減少していて、「国内客だけでは将来、行き詰まりを迎えるかもしれない」との懸念が示された。奄美のエコツーリズムに対しては、世界自然遺産ブームが長くはないとし、リピーターを獲得して減らさずに長期滞在型のエコツアーにシフトしていくことを提案。リピーター獲得には、顧客満足度が重要で、エコツアーガイドの役割が大きいと示唆。また国内の観光客減少を、海外からの観光客への取り組みでカバーすることも重要であると指摘した。

そのほか、屋久島での認定ガイド制度や町条例による屋久町公認ガイド、知床でのエコツアーの実際について講義が行われた。屋久島では「安・近・短」を求める国内旅行者などが、エコツアーガイドの存在価値低下を招いてガイド離れを引き起こしているとし、地域で基準を設けて、全体でガイドの質を高める努力をしている報告があった。

28日は、環境保全の考え方と仕組みやエコツーリズムの実際(トークセッション)の講義・質疑応答が予定されている。5月に残りの講習科目の認定講習会を行い、今月7・8日の徳之島会場の講習会受講者と9・10日の沖永良部会場の受講者から奄美群島認定エコツアーガイドとして認定される。