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東京奄美会文化講演会

東京奄美会文化講演会

東京奄美会講演会
世界自然遺産登録が島にもたらすものについて解説する則久氏。具体的な事例に、参加者も関心を高めた

何出来るか出身者も考察

先進地具体事例から「自然遺産登録」学ぶ

 【東京】奄美をより良く知り、考えることを目的に、勉強会の場として毎年開かれている東京奄美会の文化講演会が12日、主婦会館プラザエフ(千代田区六番町15)で開かれた。今年度のテーマは「奄美・琉球の世界自然遺産登録を目指して」。2年後の登録に向けて県とともに取り組みを進める奄美の現状や登録に必要な要件などについて学び、約130人の参加者は出身者として何ができるか考えを深めていた。

 講師として招かれたのは環境省自然環境局の則久雅司動物愛護管理室長。則久氏は、前鹿児島県環境林務部自然保護課長で屋久島世界遺産地域の保全管理や奄美群島の世界自然遺産登録推進事業の立ち上げ、生物多様性鹿児島県戦略の策定に携わったほか、過去には知床世界遺産地域の保全管理、タンチョウ等の希少種保護増殖事業などを担当してきた自然遺産関連のスペシャリスト。

 森眞一会長は開会のあいさつで「講演を聞いて自分に何ができるかをそれぞれ考え、実行することが則久先生と故郷への報いになり、早期の登録にもつながることだと思う」と述べ、同会としても登録に向けた支援を行っていく考えを示した。

 講演では最初に、奄美地域の価値について説明。島々が分離・結合を繰り返す過程で独特な生物進化が顕著に見られることや、世界的に見ても生物多様性保全上重要な地域であるとした。

 また日本の自然遺産登録された地域が、登録前後でどんな変化があったかを解説。

 屋久島では観光客増加の一方で、それまでは住民もほとんど注目してなかった「屋久杉」など、核心地域で予想を超える利用集中問題が発生。白神山地は規制のため本物を見る事ができず、団体客離反等で観光客が大きく減少。知床は航空会社が経営破綻した影響もあり、利用者減が続き底打ち状態。小笠原諸島は利用集中緩和のため、定期船の定員を削減したが、奄美・沖縄方面からのクルーズ船が増加して外来種侵入リスクが増加―等、登録されるまで各地域で予想しなかったことが課題となったことをあげ、登録先進地の成功や失敗を参考に、起こり得る課題を予測しておく重要性などを説いた。

 また世界自然遺産登録の生かし方の一つに「地域内経済の循環」をあげ、例えば現在「鶏飯」で使用される米のほとんどを本土から仕入れているが、そのままの場合、鶏飯を食べる観光客が増えても潤うのは本土の米農家。これを地元の米に変えればビジネスチャンスになるほか、大規模な稲作ができないとしても、田んぼを作ることで小水系から小さな自然再生ができ、稲作と密接な集落行事の復活など文化面で地域経済の循環をもたらす事が可能だとした。

 ほかに、登録候補地として植物の盗採など希少種の保護、外来種、ノネコ、自然利用規制導入、公共事業での環境配慮―などの対策が必要だとして具体例を列挙。奄美大島に600~1200頭と推計されているノネコについては、糞の分析から捕食している動物の7割が希少種だとされ、計算上、1頭のノネコが年間43匹の希少種を食べていることになると指摘。捨て猫の野生化が深刻なことから「年2~3回繁殖するノネコを増やさないために、飼い主と国民の意識向上が必要」などと語った。

 これについては奄美からネコ問題解決に取り組む市民団体「奄美猫部」の久野優子部長が補足として奄美では猫の殺処分が人口比率から見たとき鹿児島県の6倍、全国の5倍ほどと大変多く、人も猫も野生動物も住み良い島にするため、里親探しにも力を入れている。関東のみなさんにも力添えがもらえたら」と呼びかけた。

 その後の質疑応答も活発に行われ、参加者は講演内容に関心を高めた様子。続く懇親会では、同日受付に置かれた世界自然遺産登録支援募金と口永良部噴火被害救援金の贈呈があり、支援金は奄美群島広域事務組合に、救援金は県東京事務所にそれぞれ贈られた。

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