鹿大准教授・国直で講演

景観講演会が国直集落公民館で開かれ、小山准教授が景観を守り育むために求められることなどを語った

「文化的景観」重要視

 

集落景“まるごと”とらえる

 

 NPO法人TAMASU(中村修代表)は21日、国直集落公民館で、鹿児島大学学術研究院理工学域工学系の小山雄資准教授を講師とした、景観講演会「島の風景を読みとく」を開いた。風景と景観という二つの言葉の意味の違い、奄美大島や国直集落の景観の特徴、景観保全の事例紹介などを通し、景観を守り育てるために求められることなどが語られた。

 同講演会は県の景観アドバイザー派遣事業を利用して開催。県では自治体や地域づくり団体の要請の下、景観形成について助言や指導する立場として県から委嘱を受けた「景観アドバイザー」を派遣している。

 小山准教授は講演の最初に、風景と景観の二つの言葉の違いを説明。風景は主観的なもので、「原風景」のように具体的な形がない場合にも使われる。これに対し、景観は具体的に形があるものに限られるという。小山准教授は「奄美大島にはミャーやトネヤなどの要素が景観の中に残る。これが現在もお祭りなどに使用されているのが奄美のすごい所」と評価した。

 また国直海岸を例に、景観には「かたち」「やくわり(形が担う機能)」「いとなみ(機能を支える活動)」「なりたち(目には見えない背景)」の4要素があることを解説。特に「いとなみ」と「なりたち」が景観を守り、育てる際に重要になってくるという。

 文化と自然との相互作用によって生み出される「文化的景観」が近年では重要視されていることも紹介した。国直集落で青年団がフクギの植樹を行う活動に触れた上で、「景観を守り、作っていくのは時間と手間をかけ、未来へとつなぐ取り組みは、四つの要素をまるごととらえ、育てることが大切」と語った。

 また、講演後の質疑応答では、参加者から自身の住む集落に観光客が増え、景観や生活が変化しつつあるという不安などが挙がった。これに対し小山准教授は「集落の中で話し合いが行われた上での結論なのであれば、集落のWebページを作り、立ち入りを断る文章を掲載して広く広報していくべきではないか」とアドバイスした。