鹿大総研博物館市民講座

池田氏=写真右=の説明を聞きながら、特別公開されたハブ属の化石など見学する参加者

琉球列島のヘビ類起源学ぶ
150万年前のハブ属化石も

 鹿児島大学総合研究博物館主催の第32回市民講座が27日、奄美市名瀬の奄美博物館であった。兵庫県立「人と自然の博物館」研究員の池田忠広氏が「琉球列島のヘビ類の起源」をテーマに講演。数万年前の宮古島には現在は生息していないハブなど複数のヘビ類が多数生息していたことなど紹介した。また企画展示室では沖縄本島で150万年前の地層から発見された琉球列島最古のハブ属の化石なども展示され、特別公開された。

 琉球列島では200万年前以降の堆積物から、多くのセキツイ動物化石とともに複数のヘビ類化石が産出されている。池田氏はこれまでの調査・研究で現生種の骨とヘビ類化石を比較することで種類を特定した。

 池田氏はスライドを用いて発見された化石の写真など示しながら、▽約150万年前(前期更新世)の沖縄島にはハブ類を含む現生種か、その祖先がすでに生息していた▽数万年前(後期更新世)の徳之島、沖縄島、石垣島、与那国島におけるヘビ類相は、現在とほぼ変わらない▽琉球列島の数万年前のヘビ類は、現生種に比べて体のサイズが大きい傾向がある―ことなど伝えた。

 また宮古島に関しては、「過去に現在とは違う種類の多様なヘビが生息し、今よりもう少し陸域も広かったのではないか」と推測した。

 講演終了後、参加者は1階の企画展示室へ移動。琉球列島最古のハブ属の化石のほか、徳之島で発見された2万年前のアマミノクロウサギの歯の化石などが特別公開された。