県中学野球指導者研修会

下半身のストレッチ法を実演する髙司さん(手前)=長田中体育館

指導論、トレーニング方法など身近なエキスパートに学ぶ

 

 【鹿児島】今年度の鹿児島県中学校軟式野球指導者研修会が25日、鹿児島市の長田中体育館であった。大島地区も含む県内全域から約150人の指導者が集まり、指導論やトレーニング方法などについて学んだ。

 「チーム鹿児島」と称して、県全体のレベルアップ、九州、全国で通用するチームや指導者を育成しようと、県中体連の軟式野球専門部始めた研修会は、今年で9回目となる。3月と8月に九州大会が鹿児島で開催されたこともあって、「一つの区切りをつけて、若い世代の指導者に引き継ぐ」(村山忠隆専門委員長)と「世代交代」をテーマに掲げた。8月の九州総体で優勝した三股(宮崎)の松下幸政監督、県内でトレーナー活動に取り組むフィジカルファクトリーの髙司譲さん、鹿屋体大講師で公認スポーツ栄養士の長島未央子さんがそれぞれ講演。指導論、トレーニング論、栄養学など「身近なところにいる専門家に学び、今後につなげる」(村山委員長)ことを目指した。

 松下監督は「遅咲きの美学」と題し、自身の体験を語った。3年連続地区大会の第3代表決定戦で敗れ県大会に出られなかった悔しさをバネに、「ぶれないこと、徹底すること」「勝ちに徹底してこだわる姿勢」「出会いに感謝し謙虚な姿勢」などを貫き、九州を制して宮崎であった全国大会でも初戦突破した。「相手を圧倒できる強さはなかったけれども、我慢強いチームになった」と振り返った。

 「中学野球のトレーニングの考え方と実践」と題して髙司さんは、成長期に有効なトレーニング方法やストレッチなどを紹介し「ケガを少なく、身体の成長を妨げないようにして、大人の身体になった時に更に伸びるような身体づくりや指導が大事」と説いた。

 長島さんは、身体を大きくするために「沢山食べることがいつの間にか目的化しないか」と疑問を呈し、「大切なのは消化、吸収して身につくこと」であり「美味しい食事、楽しい食卓でバランスの取れた食生活を」と訴えた。

 喜界の東郷健太郎監督は「喜界に行ってからの5年間皆勤」と言う。松下監督の「ぶれない姿勢」「勝つことへのこだわり」に感銘し「自分もチームを勝たせることで子供たちを成長させたい。早く帰って学んだことを子供たちに伝えたい」と感想を話した。大崎の折田晃幸監督はそれぞれの講演から「子供たちをどう導くかのヒントをもらった」と言う。「これまで先輩方が素晴らしいチーム鹿児島の活動を作ってきたので、次は自分たちの世代が8年後の九州大会に向けて新しいチーム鹿児島を作っていきたい」と今後への意気込みを語っていた。
(政純一郎)