水土里サークル推進大会

2017年度「奄美大島水土里サークル活動推進大会」があり、活動事例などが発表された

広域活動組織設立呼びかけ

 

島内2組織が事例発表

 

 2017年度「奄美大島水土里サークル活動推進大会」(鹿児島県、島内5市町村主催、県水土里サークル活動支援協議会共催)が28日、奄美市名瀬の宴集会場であった。島内2組織による事例発表では、農道・水路の環境保全、遊休農地の活用、I・Uターン者も携わり農水産業の活性化につながっている活動例などが紹介された。また、高齢化や後継者不足などを要因に、今後地域での共同活動の維持が懸念されるなか、各活動組織間で協定を結ぶなどして、運営を一本化する「広域活動組織」の設立により、活動の効率化、懸念解消が期待できることなどが示された。

 大会には、同活動に関係する島内の42組織から約140人が参加。事例発表では、まず「小湊アブシ隊」(奄美市)の代表で、集落区長を務める東郷武さんが活動を紹介。同隊は2007年から活動を始め、対象地域は31㌶。▽草刈りや泥上げなどを行う農道・水路の保全(年3回)▽遊休農地を活用した野菜づくり▽高齢者との交流(月2回)―などを行っている。

 同隊では、小中学校(2校)、青壮年団、婦人会など各グループに分かれた活動も行う。東郷代表は「農道・水路がきれいになり、活動の浸透で自分たちができることはやろうという意識が広がってきた。今後、集落の農地に向く作物を栽培し、特産品などにできれば」と語った。

 続いて、宇検村の「平田集落の自然環境保全を守る会」(代表・盛屋信治区長)が発表し、村づくりを含めた活動を紹介。同集落、阿室、屋鈍の3集落で組織する「阿室校区活性化対策委員会」は、小中学校の維持継続、移住者との交流、農水産業振興に関わる―三つの班から成り、「平田集落の自然環境保全を守る会」は、農業振興に関わる班と連携し、耕作放棄地の解消や農道・水路の保全活動を行っているという。

 1992年以降に途絶えた村内のサトウキビ生産が、同サークル活動やI・ターン者の就農で平田集落でも生産が復活。また、97年に「平田たんかん組合」を設立するも、組合員の高齢化により、栽培面積は減少。I・Uターン者が防風樹に発生した害虫の防除活動などに協力し、また高齢者の樹園地が同者に貸し出され、規模拡大にもつながったという。

 現在、水土里サークル活動を行う、県内の活動組織数は667組織。そのうち広域組織は県内に28組織あり、奄美では5組織(徳之島4、沖永良部1)あるという。広域活動組織の設立条件には、対象地域200㌶以上などがある。同協議会は「高齢化が進んでいる。みなさん元気なうちに、数年先の活動を見据えて、広域化を検討してもらえたら」などと呼びかけた。