亡き息子への気持ち綴る

息子への手紙を書いた佐々木キヨさん(右)と四女の牟田りん子さん(左)=和泊町、グループホームゆりの郷=

和泊町の佐々木さん(99) 15周年記念賞を受賞
第15回「母から子への手紙コン」

 【沖永良部】野口英世の生誕地、福島県猪苗代町で行われた「母から子への手紙コンテスト」で和泊町の佐々木キヨさん(99)が15周年記念賞に輝いた。2年前に亡くなった息子への気持ちを400字詰め原稿用紙1枚に綴った。

 コンテストは、野口英世の母シカが送った手紙にちなみ、同町絆づくり実行委員会が開催している。今年で15回目。1423作品の応募があった。

 手紙には、息子の貞進さんが63歳で他界し「生きる希望も、力も、長生きする意味もわからなくなった」と当時の気持ちを吐露。今年3月に入所したグループホーム「ゆりの郷」の部屋に飾る息子の写真を見ながら「見えなくても美しい花を供えるよ。食べなくてもおいしい物を供えるよ。返事をしてくれなくても語り続けるよ」としたためている。

 グループホームのスタッフによると、郵便局でコンテストのパンフレットを偶然見つけた際、手紙を書くことが好きな佐々木さんに渡してみようとひらめいたという。応募締め切りまで何度も書き直したが、子や孫の協力を得て直筆の手紙を完成させた。

 佐々木さんは「このような賞をもらい驚いている。息子が『オカン』と呼ぶ声が聞きたくて書いた」と話した。また、手紙の投函後に見た夢で「真っ白な服を着た息子が現れ『豚の三枚肉の味噌炒めが食べたい』と言った。その声が聞けてうれしかった」と話した。

 今月4日、猪苗代町であった表彰式には、四女の牟田りん子さん(61)が出席して賞状を受け取った。