“年金探偵”の柴田さん相談会

宇検村で行われた「消えた年金」問題の説明会・相談会

人でも多くの「年金見つけたい」
請求漏れ「チェックシート」沿い説明

 「消えた年金」問題に取り組む社会保険労務士で“年金探偵”の柴田友都さん=埼玉県=による説明会・相談会が24日、宇検村と瀬戸内町であった。全国で2千万件あるという「宙に浮いた年金記録」の解説や、参加者からの疑問などに回答。柴田さんは「国のために働いていた人たちが年金をもらえないのはおかしい」と、一人でも多くのお年寄りの年金が見つかるよう、相談を呼び掛けている。

 柴田さんは25年前からこの請求漏れによる「消えた年金問題」に取り組んでおり、これまで4千件の請求漏れを見つけている。県内でも100人以上の実績を持ち、奄美大島で説明会や相談会を開くのも7回目という。宇検村では13年以来の開催で、約40人が参加。冒頭では、3年前の説明会参加者から、実際に年金が見つかったという事例報告もあった。

 「消えた年金」は終戦前後の混乱や不確かな記録によって受給資格があることを知らなかったり、受給が出来きていなかったりするもの。日本年金機構の調査でも見つからずにいる場合もあるが、柴田さんは相談者の職歴や住んでいた場所などの記憶を頼りにこの年金を探し出しているという。

 説明会では▽戦時中、軍需工場に徴用、挺身隊で勤めていた▽兵役前に会社に勤めていた▽被爆者手帳を持っていて、内地(本土)で働いたことがある▽戦時中から1953年(昭和28年)まで内地(本土)にある会社に勤めていた(密航船も含む)―など、請求漏れ年金「チェックシート」に沿って説明。「終戦前後の年金は今の法律の枠ではないので見つけるのが難しい。たとえ亡くなっていても年金はもらえるので、自分やまわりの人に該当者がいないか、思い浮かべてほしい」と呼びかけた。

 来場者から「(宇検村では)中学卒業後、名瀬に就職する人もいた」という声もあったが、柴田さんは奄美群島では米軍統治下におかれた1945年から1953年の期間は年金制度がなかったことも説明し、「密航でも、本土で働いていた人は年金がもらえるのに、奄美で働いていた人にはない。この事実はあまりにも不平等。何とか年金制度を認めてもらえるよう、今後働きかけていきたい」と語った。

 また、奄美で柴田さんとの窓口を担っている徳田浩臣さん(小宿郵便局長)は「奄美には独特の“島名”の風習もある。戸籍とは別に名前を付けて育てられ、その名前のまま就職したために、年金がもらえなかった。この場合も、何とか奄美の風習だという説明をして認めてもらった例がある」と話した。

 説明会の後には、個別の相談会も実施。昔のことを思い出しながら、働いていた場所や地名、どのような雇用状態だったのかなどを柴田さんに話す参加者の姿が見られた。

 柴田さんは相談と調査は無料で行い、年金が見つかった場合のみ報酬をもらうようにしている。柴田さんへの相談は産友社会保険労務士事務所?048‐296‐2075まで。