サンゴ付着なく、生物に異変なし

請島・与路島での作業後、古仁屋港まで運ばれた油を移動させる作業参加者ら=提供写真=

油漂着物 請島・与路島でも回収作業

 環境省は16日、奄美群島各地で油の漂着物が確認されている問題に関し、海域公園地区の緊急調査の結果(速報)を発表した。発表によると、調査を実施した海岸では油状物の漂着を確認したものの、海面での浮遊はなく、イシサンゴ類への付着もなく、生物の生育や生息に異変は確認されなかったとしている。

 環境省那覇自然環境事務所は今月12日に笠利半島海域公園地区、14日に大島海峡海域公園(1~3号地区)、15日に摺子崎海域公園地区の調査を実施。笠利半島海域公園地区と摺子崎海域公園地区では、干潮時に海岸から礁原(干潮時に干上がるサンゴ礁の上の平坦な部分)・礁池(礁原に発達する浅く静穏な水域)に入り、目視で油状物の付着状況を把握。大島海峡海域公園地区では船舶を使用し、干潮時に水面から目視で礁池・礁原の油状物付着状況を把握。外洋に面する実久の海岸部一帯・古里海岸の中央部などで油状物の漂着が確認された。

 一方で、各調査地点とも海面や波打ち際での油状物の浮遊はなく、サンゴ岩や海底、水中生物への付着はなかった。イシサンゴ類や棘皮=きょくひ=動物、貝類、海藻、海草類などの生息、生育については特に異変がなかったという。

 同省は、今後も引き続き、目視調査を継続し現状把握に努めるとしている。また、沿岸域の生態系への影響把握を目的にサンゴ礁などを対象とした水中からの詳細な調査の実施を予定している。
 また15日には奄美海上保安部古仁屋海上保安署が、瀬戸内町の西古見海岸約300㍍の範囲でも油状物の漂着を確認。拳程度の大きさの油状物6個が漂着しており、同署署員が回収作業を行った。

 同日、瀬戸内町は県大島支庁瀬戸内事務所職員や、瀬戸内警察署、ボランティア作業員の協力の下、総勢89人で、同町請島(請阿室、池地)と同町与路島の漂着油回収作業を実施。2時間から4時間程度作業を行い、3カ所合計で1・8㌧の油と油が付着したごみなどを回収した。

 回収した油は、貸切船で古仁屋まで運搬され、町衛生センターに仮置きされている。油の付着した漁網やロープなど、人力で運ぶことができないものもあり、回収方法の再検討が必要だとしている。今後は加計呂麻島でも回収作業を行う予定で、日程を調整しているという。