「リーガル・キャット」

ネコの飼育に関する条例、法制度などについて解説する諸坂さん

ネコの室内飼育徹底を 実効性ある条例改正訴えも
専門家招き講演

 「リーガル・キャット~ネコ問題を法律から考える~」(奄美ネコ問題ネットワーク主催)が27日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。沖縄や小笠原でネコ条例の制定に関わった神奈川大学法学部准教授の諸坂佐利=さとし=さんを講師に招き講演。ノネコ・ノラネコの増加による人や自然への影響が出ないよう、ネコの室内飼育を徹底するよう提言。希少種とネコが同一空間に存在しない状態を実現するため、条例改正など迅速な政策展開の必要性を訴えた。

 諸坂さんはイリオモテヤマネコ保全に向けた沖縄県竹富町のねこ飼養条例の全面改正をはじめ、ヤンバルクイナの保全を目指す各自治体の条例改正に携わった法律の専門家。奄美大島でもネコ飼養の現状などをヒアリング調査している。

 ノラネコは完全に野生化せず餌を人や地域に依存し、ノネコは人に依存せずに食べ物を得て野生化している状態を指す。諸坂さんはノネコ・ノラネコによる問題について、大別して▽人の生命や健康、生活環境、経済活動などへの危害▽絶滅危惧種や固有種など、自然生態系に対する危害―に二分されると説明。捕獲や駆除などを行う現場では、ノネコかノラネコか外見上から判別が不可能なため、「行政などのマネジメントが混乱している」と指摘した。

 また近年は外で放し飼いをすることなどにより、ネコの糞尿などが近隣住民のトラブルになっているケースもあるが、「家でネコを飼養していれば第三者に迷惑をかけることもなく、これらの問題も起こらない」として、室内飼育を呼びかけた。

 諸坂さんは「ネコ問題はネコの問題ではなく、人が起こす問題」と強調。奄美の各自治体で制定している飼い猫適正飼育条例は「実効性に欠けている」として、飼い主への罰則規定を明記する必要性を挙げ、住民との協議を踏まえ、民間との協働により自治体の自主性や独自性を出した実効性のある条例への改正を訴えた。