シンボルツリーのガジュマルをモニュメントに

昨年倒れたガジュマルからモニュメントを作った黒田卓真さん=知名町、住吉小学校=

井波彫刻師の黒田さん制作
知名町住吉小 1年前に倒木、復活

 【沖永良部】昨年8月25日、台風15号の影響で倒木した知名町立住吉小学校(脇田幸治校長)のシンボルツリー「ウードガジュマル」が、モニュメントとして復活した。制作したのは、同町在住で富山県の伝統工芸品・井波彫刻の職人でもある黒田卓真さん(広島県出身・37)。黒田さんは「多くの子ども達に触ってもらい、校区のシンボルだったガジュマルを思い出してほしい」と話した。

 ウードガジュマルは方言で「大きいガジュマル」の意味。樹齢117年で、高さ約13㍍、幹回り約6㍍、広がった枝は最大25㍍ほどもあった。

 倒伏後、樹木は細かく切断され撤去。作業を行った保護者らが「記憶に残せるような形にできないか」と、黒田さんに彫刻を依頼した。

 モニュメントは、高さ約80㌢、直径20㌢ほどで木の枝部分を使った。校章と学校名が刻まれた部分以外は、加工していない。

 「ガジュマルを掘るのは初めて。半年かけて木を乾燥させたが、弱っていると分かった。細かな細工をせずに木の状態を残した」と黒田さん。荒彫りから仕上げまで、ノミだけで制作する井波彫刻の技術を生かした。

 校区の夏祭りが開かれた7月17日、完成したモニュメントの披露と贈呈式が行われた。受け取った脇田校長は「ガジュマルのやわらかさが伝わる。学校のシンボルツリーをこのような形で残してもらい感謝している」と語った。

 黒田さんは、富山県で6年間、井波彫刻師としての経験を持つ。「南の島で生活したい」と5年前に沖永良部に移住。現在は同町住吉でダイビングショップを経営しながら、彫刻の仕事もしている。