徳之島北部クロウサギ輪禍

過去最多6件に急増
出没地区広がり 意識した運転呼びかけ

 【徳之島】徳之島町手々地内の県道で29日朝、交通事故死した国指定特別天然記念物アマミノクロウサギ1匹の死骸が見つかった。天城町与名間―手々間の県道では初事例の可能性も。同島北部地区を中心に、輪禍によるクロウサギの滅失がこれで計6匹と過去最多に。環境省は、出没地区の広がりを意識した運転を呼び掛けている。

 発見場所は、手々小中学校から与名間方向へ約1・5㌔の県道上。同日午前6時ごろ、同集落の農業堀田桂さん(62)が県道脇の死骸に気づき、町自然保護推進協議会委員の政武文さん(63)=手々在住=に連絡。体長約35㌢、体重1・6㌔のメスの成獣で、回収して環境省徳之島自然保護官事務所(天城町役場内)に詳細を報告した。

 渡邊春隆自然保護官は、クロウサギが頭部を骨折し出血していた状況から交通事故死と判断。「まったく予想していなかった地域」での発生で、同島北部では今年に入りこれで計6件と過去最多を把握。「ドライバーの皆さんは、クロウサギはどこでも出る可能性があると意識、夜間の運転には十分注意して欲しい」。

 出没地域の広がりなどの背景は、「ネコ対策の効果が表れ、繁殖行動も増えていることも考えられる」と推測する。一方で「安心して出てくることに伴って事故に遭うケースも増えると予想される」。県側には注意喚起の看板設置など協力も要請する方針という。

 ちなみに過去5年間のクロウサギの交通事故死件数は、▽2012年0件▽13年3件▽14年1件▽15年0件▽16年(29日現在)は6件に急増。「ネコ・イヌ」原因視は▽14年の9件をピークに、▽15年1件▽16年(同)0件に減っている。