歴史的「低糖度」受け徳之島を調査・意見交換会

歴史的「低糖度」受け徳之島を調査・意見交換会

台風塩害による歴史的な糖度低迷など現場を調査、意見交換した自民党の甘味資源作物現地調査団(右から2人目・宮下団長)=24日、天城町で

「次期増産への対応検討」
自民・甘味資源作物調査団

  【徳之島】自由民主党野菜・果樹・畑作物等対策委員会の宮下一郎委員長(衆院議員)を団長とする甘味資源作物現地調査および意見交換会が24日、徳之島(天城町)であった。昨年10月に同島を直撃した台風22号の潮風害などで過去最悪の低糖度が続く基幹作物サトウキビを現地調査し、生産者代表から生の声も聴取。今後、沖縄県内と種子島の調査も含め「次年度増産への対応策をみんなで検討したい」(宮下委員長)とした。

 調査入りした同党国会議員団は、▽野菜・果樹・畑作物等対策委員長の宮下衆院議員(長野5区)をはじめ▽農林部会長・野村哲郎参院議員▽農林副部会長・藤木眞也参院議員▽奄美振興特別委員会事務局長・金子万寿夫衆院議員の4氏。行政(国)側からは農林水産省の岩濱洋海農産部長や同九州農政局の担当者らも随行した。

 空路同島入りして兼久さとうきび生産組合長の禎村良信さん(74)や南西糖業㈱側の案内で天城町兼久のキビほ場を視察。昨年10月28日の台風22号の直撃通過時は東風が吹き、通過後は雨のない西からの空っ風で葉が被害を受けたこと。乱倒伏でハーベスタの収穫ロスも多く、株出し予定のほ場も植え替えが必要になったこと。糖度は平均11・89度(前年同期13・65度)に著しく低迷したまま、トン当たりの農家手取りも約2400円減っている現状などを訴えた。

 意見交換会は関係機関・団体代表ら約55人が出席して天城町役場で。大久幸助徳之島さとうきび生産対策本部長(同町長)はあいさつで「台風22号の潮風害後に全く雨がなく、塩害が山間部にも達し予想外の被害に。糖度が上がらず農家の手取りも予想以上に低い。製糖開始2カ月だが基準糖度帯に及ばない状況」と苦境に立たされている現状を述べ、国の救済措置に期待を寄せた。

 宮下委員長は「糖度が全島的に低い状態があり普通の状態ではないと感じた。お話を伺って何ができるかを考えたい」。農林部会長の野村氏も「糖度が歴史的に低い。ご意見を聞いてどんな対策ができるか検討したい」。地元選出の金子氏も陳情的に訴えた。

 意見交換では、天城地区さとうきび部会の永田一司部会長が、農家経営への影響が大きい今期の糖度低下への①「次年度対策の支援強化・拡充」、②「後継者育成・生産者意欲向上への交付金単価設定」。南西糖業㈱の田村順一社長が、植え付けや株出し管理遅れによる単収低下への課題に①「大型機械所有の大規模農家構成比率、生産構造の強化」、労働人口減・工場勤務社員困難化に対する②「省力化投資への支援」などをそれぞれ意見表明。非公開で質疑を行った。

 宮下委員長は終了後の会見で「実際に現場を見て、お話を伺って対応策を決める必要があると今回来島。塩害は回復すると思っていたが時期が悪かった。(徳之島)ダムの完成による利用拡大も必要。次年度の増産につなげる対応策をみんなで考えていきたい」。25日は沖縄県内に移動、来月14日は種子島の現地調査も予定している。