宇検村で対馬丸合同慰霊祭

慰霊碑前で献花を行う久志小中学校の児童生徒たち

鎮魂祈り平和誓う
「地元の歴史として伝えたい」 久志小中学生も献花

 宇検村宇検集落(川渕昌春区長)は26日、同集落船越=ふのし=海岸の「對馬丸慰霊之碑」前で2017年度第1回対馬丸合同慰霊祭を行った。集落住民など約40人が参加し、対馬丸事件の犠牲者の鎮魂を祈り平和を誓った。

 同海岸には、撃沈された対馬丸の遭難者などが漂着。同集落の住民たちが救助活動や、犠牲者を海岸に埋葬していた。

 遺族などの要望を受け村は集落と慰霊碑建立実行委員会を立ち上げ、今年3月に同地に慰霊碑を建立。3月19日には沖縄から事件の生存者や遺族などが参加して、慰霊碑除幕式が行われていた。

 慰霊祭は、参列者の黙とうで開始。川渕区長は式辞で、100周年記念の節目に慰霊祭が実施されることが感慨深いとし「後世に平和を語り継ぐシンボルとして活用してもらいたい」とあいさつした。

 追悼のことばで元田信有村長は、那覇市小桜の塔で22日にあった対馬丸慰霊祭に川渕区長と参加したことを報告。「対馬丸事件を忘れることが無いよう語り継ぎ、地域の平和教育に生かし奄美と沖縄の交流を深めて戦争を繰り返さないよう取り組んでいく」。

 沖縄から対馬丸記念会の高良政勝理事長も慰霊祭に出席。高良理事長は慰霊碑建立や事件当時の村民の救助活動などに感謝し、「戦争の実像を伝えるべき時期に、慰霊碑が建立されたことは意義深い。ここに足を運んで戦争の悲惨さ、愚かさ、命の尊さについて考えてもらいたい」と述べた。

 続いて元田村長や高良理事長などから順に、慰霊碑前で献花。慰霊祭終了後に、元田村長は「沖縄と奄美は、対馬丸の悲惨な歴史を共有している。慰霊祭を通して地元の歴史として伝えていきたい」と話した。

 事件当時に遺体の引き上げや生存者の救助作業に当たった大島安徳さんは、慰霊祭後に当時を述懐。「埋めた一人として、思い出されて涙が出る。事件を風化させないように語り継いでもらいたい」と語った。

 慰霊祭に出席し献花した久志小中学校の中学3年の要凱仁=かいと=君は、「高校に進学し転居しても、今後もなるべく慰霊祭には参加したい。戦争の記憶を風化させないように、後輩たちに引き継いでいきたい」と話した。