天城町 地方創生総合戦略を答申

天城町まち・ひと・しごと創生総合戦略をまとめ大久幸助町長に答申した順直輝会長(左)=29日、同町役場

循環型農業や世界自然遺産推進
結婚新生活の経費軽減も

【徳之島】天城町まち・ひと・しごと創生総合戦略策定審議会(順直輝会長、19委員)は29日、同総合戦略(2015年度~19年度)を大久幸助町長に答申した。町人口ビジョンは60年に5千人程度の確保が目標。戦略の主事業に①循環型農業の創出②世界自然遺産登録へ向けた取り組み③少子化対策―を挙げ、各分野の指針や具体的施策を盛り込んでいる。

少子高齢化・人口減少に歯止めをかけ地域環境の確保、活力ある日本社会維持への「まち・ひと・しごと創生法(14年度施行)に基づき総合戦略の策定を諮問。今年3月から▽町若手職員(35歳以下)専門部会を7回▽全14集落での地方創生・地域懇談会▽アンケート調査(町民・町外転出者・高校生・Web上・事業所など)▽移住女性「さわやか懇談会」で積極的に意見・要望を収集。戦略策定審議会や同策定本部会、町議会説明を経ての答申・策定となった。

同戦略によると、天城町の14年10月1日現在の人口は6378人(外国人除く)。05年以前の10年間の対前年増減は年平均で「35人前後」の減だったが、05年以降10年間は「100人前後」に減少幅が拡大。15年以降は急速な人口減少スパイラルに入り30年には5194人(14年比18・5%減)、60年は3353人(50・4%減)と推計(社会保障・人口問題研究所)されている。

背景に「若年層の都市部への転出。高校卒業後の就職・進学で8、9割が島外に転出したまま、その多くが戻らない。出産適齢期の若年世帯の減少、出生の減少」を指摘。この現状から戦略策定の基本目標(4つの基本的視点)は①安定した雇用の創出②新しい人の流れをつくる③若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望を叶える④地域の担い手を確保し、時代にあった地域づくり。

戦略策定の目標の人口ビジョンは「60年に5千人程度の人口確保」。今後5年間の総合戦略では、▽観光入り込み客数増(6万人化)▽農畜産物生産額の45億円達成▽合計特殊出生率の上昇を目指す。

主事業の「循環型農業の創出」では畜産飼養頭数の減少防止や堆肥処理施設の整備、U・I・Jターン中心の受託組織設立などを推進。「世界自然遺産登録」ではアマミノクロウサギなど個体数の維持・増加へのノネコ対策、マリンレジャー拠点整備による体験滞在型など推進。「少子化対策支援」では、結婚後の町内居住者の新生活に必要な経費の負担軽減、結婚・妊娠・子育て世帯への商品券支給の継続支援―なども掲げている。

策定審議会の順会長(42)=自営業・町商工会役員=は答申に当たって「天城町の特性を活かした施策を重点に、基本目標の達成努力を。産・官・学・金・言など幅広い分野と連携し、町民と一体となって取り組んで」と要望。大久町長は「地方創生の人口対策にはまず若者の働く場・生活できる場をつくる必要がある」と意欲を示した。