住用ダム上流で捕獲された大型のコイ
大量に繁殖確認「奄美本来の川に戻したい」
奄美市住用町の住用ダム上流域で11日、外来種であるコイの調査・捕獲が行われた。同町ではリュウキュウアユなどが生息する役勝川や住用川で本来生息しないはずのコイが大量に繁殖していることが確認されている。調査は川の生態系保全を目的に奄美市住用総合支所市民福祉課の職員らが実施。この日は卵を抱えた個体など70㌢超え(重さ約8㌔)のメス2匹を捕獲した。
日本には在来のコイがいるものの、国内の河川やダムに生息するほとんどのコイは外来種が中心。数年前までは全国各地で盛んに放流なども行われており、各地で外来種のコイが繁殖している。雑食性で、60㌢以上と大きく成長するコイは生態系に影響を及ぼす可能性もあるため、世界的にも厄介な外来種としてIUCN(国際自然保護連合)が選定・公表している世界の侵略的外来生物100種にも選ばれている。
同課では9月から河川でのコイ生息調査・捕獲を実施しており、ダムでの調査・捕獲は今回が初めて。調査には同課職員や環境省奄美野生生物保護センター職員など7人が参加。県の特別許可とダムを管理する九州電力の協力を得て行われた。
今回は効果的な捕獲方法などを探ることも目的。浅瀬に網を張り、数人が網までコイを追い込んで捕獲した。この日の捕獲数は2匹だったものの、目視だけでも10匹以上のコイを確認しており、担当職員らは「少なくとも100匹以上はいるのでは」と指摘する。
田中義人課長は「雑食性のコイを捕獲し、奄美本来の川に戻したい。そのためにも、関係機関や住民の協力は必要不可欠。今年の調査は今回が最後になると思うが、来年にも本格的な捕獲に取り組みたい」と語った。