リュウキュウアユ産卵シーズン向け

川底にたまった赤土をクワなどできれいに洗い流す子どもたち

子どもたちが産卵地作り
住用と宇検で「豊かな川なら自然も豊か」

リュウキュウアユ保全に向けて29日、奄美市住用町と宇検村の河川で「リュウキュウアユ産卵場作り」が行われた。地元の子どもたちを中心に、これから迎える産卵のピークに向けて、産卵地を整備。冷たい川の水に驚きながらも作業を進める姿が見られた。

同イベントは世界で唯一、奄美大島だけに生息するリュウキュウアユの保全が目的。3月に制定された奄美大島生物多様性地域戦略の実践活動の一つでもあり、奄美大島の生物多様性をより豊かなものにしようと、奄美市と宇検村で毎年実施している。

宇検村では村内の子どもたちを中心に親子約20人が参加。最初に奄美リュウキュウアユ保全研究会の米沢俊彦さんがリュウキュウアユについて説明した後、実際に河内川を訪れリュウキュウアユの観察や産卵地の整備を行った。

産卵地の整備はリュウキュウアユが卵を産み付ける小石の下にたまった赤土を取り除くもので、子どもたちはクワやスコップなどを使って整備に挑戦。冷たい水の中、懸命に作業に取り組んだ。また、この日はすでに産卵が始まっている場所にあったリュウキュウアユの卵も観察。目を凝らして見ないと分からないくらい小さな卵を見つめる子どもたちの姿が見られた。

四宮明彦会長は「今年は11月中旬の調査で、全河川合計で過去最高の約8万匹のリュウキュウアユを確認した。ただし、過去1万匹を記録したこともあるこの河内川は約1400匹で、宇検はまだ少ない」と指摘。「増えた要因はおそらく(2010年の)奄美豪雨災害など数回の水害で川にたまっていた赤土が流され、川の状況がリセットされたこと。そして、テプランクトンの増加と、冬の水温がここ数年低かったことでは」と話した。

今回の作業については「川にはいろいろな生き物がいる。川が豊かなことで、自然が豊かになるので守ることは大事なこと。子どもたちも、この体験活動を通じて、感動を味わってもらうことが、川を守るということにつながる」と話した。

参加した笹川そらさん(田検小3年)は「9月に奄美に来たばかりなので、もっと奄美のことを知りたいと思って参加した。奄美の宝であるリュウキュウアユをもっと増やせるよう、これからも手伝っていきたい」と話した。