沖縄県那覇市で行われた第2回「奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会」
【沖縄で油井あづさ】2015年度第2回「奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会」(委員長・土屋誠琉球大学名誉教授)が27日、沖縄県那覇市のサザンプラザ海邦であった。奄美大島・徳之島と同じく国立公園の新規指定を目指していたやんばるでは、同日に「やんばる国立公園(仮称)の指定および公園計画の決定」にかかるパブリックコメントを開始。奄美大島・徳之島はいまだ関係機関・関係者との調整中で、9月の推薦書暫定版提出に向け鋭意進めるとした。
冒頭で環境省那覇自然環境事務所の西村学所長が国立公園化の現状を説明。「奄美大島・徳之島については推薦地を示すことが出来ず申し訳ない。9月の暫定版提出を目指し、鋭意進めていくつもり」と語った。
沖縄県では、西表石垣国立公園で23日、中央環境審議会の諮問が行われ、国立公園化の拡張が決まった。「やんばる国立公園(仮称)」は地元や関係機関・関係者との調整が終了したことから、パブリックコメントを開始。期間は27日から3月27日までの1カ月となっており、今回の委員会では、やんばるのパブリックコメント開始で沖縄県が国立公園化へ前進したことから、推薦区域について具体的な地図が公開された。
同会では沖縄の推薦地に関する意見交換を中心に、昨年9月の第1回委員会で示された推薦書の訂正箇所を確認。特に、今回初めて推薦地が示されたやんばる地域については、国立公園の特別保護地区から第1~3種特別地域、普通地域の図と推薦地の場所を比較し、「推薦地をもう少し拡大できないか」などの提案も。一方で、基地問題の保護指定についても触れる場面も。環境省からは「基地を国立公園に入れるのは難しい」と説明したうえで、「そのため、緩衝地帯に基地のエリアを含めるのも難しいのでは」と回答した。
推薦書については、第6章「モニタリング」についての考え方を示し、早めにドラフト案を作成すると説明。委員らは「暫定版の提出まであと半年と時間はない。奄美大島・徳之島も間もなく推薦地区がわかるはずなので、しっかり作ってほしい」とした。
奄美大島・徳之島については奄美群島の国立公園化が進まない以上、具体的な推薦地の地図を示すことができないため協議も現状維持の状態となっている。
鹿児島県自然保護課の長田啓課長は「国立公園、世界自然遺産登録へ県としても出来る限り協力していきたい。保全と計画的な活用を両立するため、関係者との連携を持って、しっかり進めていく」と語った。