移動規制半月で276件取締

ミカンコミバエのまん延防止への協力を呼びかける門司植物防疫所名瀬支所の植物検疫官

禁止実績、柑橘など果実類
18日から広報強化週間 植防名瀬支所

 奄美大島でミカンコミバエ種群の発生が確認されたことで、植物防疫法に基づく緊急防除による規制対象品目の移動規制(島外出荷禁止)が昨年12月13日から実施されているが、緊急防除以降同月31日までの半月間で移動禁止植物取締り実績は276件に及んだことがわかった。一日当たり十数件の割合と多かったが、移動規制の周知・浸透により現在は落ち着きつつあるという。

 農林水産省門司植物防疫所名瀬支所によると、奄美群島内での移動禁止植物取締りは各島の空港・港で実施。国の植物検疫官による取締りだけでなく、県や市町村の行政担当者・関係業者も取締りに協力。植物防疫員(移動規制、緊急防除)・移動制限植物検疫補助員の2016年度設置状況は、補助員は前年度と同数だが、防疫員は13人から68人に大幅に増員、取締り体制が強化されている。

 ミカンコミバエの早期根絶に向けた緊急防除により、まん延防止の観点から柑橘=かんきつ=類、スモモ、マンゴーなどの果実類は島外に移動できない。名瀬支所がまとめた取締り実績によると、2015年(昨年一年間)の場合、サツマイモ生塊根(イモ)10件(いずれも手荷物)、柑橘類穂木1件(同)、柑橘類生枝葉1件(同)で、ミカンコミバエ緊急防除以降(12月13~31日まで)では柑橘類などの果実が276件(同)となった。15年の取締り実績数の合計は288件で、緊急防除以降の果実取締り数が、わずか半月間で全体の95・83%とほとんどを占めたことになる。なお、前年の14年の取締り実績数は合計15件だった。

 緊急防除以降、取締りの対象となった果実は島内産の柑橘類だけでなく、島外産の果実も。温州ミカンやリンゴ、バナナなど島外で生産され、奄美大島のスーパーなどで販売されたものを購入し、それを搭乗の際に持ち出そうとしたもの。一度、緊急防除地域の奄美大島内に持ち込まれた寄主植物(ミカンコミバエが寄生する可能性がある果実)は、たとえ奄美大島以外で生産されたものでも移動が規制(発生地域への移動になるため)されているからだ。

 植防によると、こうした移動規制は当初浸透していなかったものの、県や市町村などと連携した周知の取り組みにより現在は住民の理解が進んでいるという。「柑橘類など果実の取締り実績は減少しつつある」(植防)。

 大型連休を控え今月18日から22日までの間、今年度第1回となる「移動禁止植物等に関する広報強化週間」が実施される。この中ではミカンコミバエ緊急防除による寄主生果実の島外移動禁止・制限のほか、▽サツマイモ等に被害を与えるアリモドキゾウムシ、イモゾウムシ、サツマイモノメイガおよび野菜類全般を食害するアフリカマイマイが発生しており、これらの害虫・寄主植物(サツマイモなど)▽柑橘類に被害を与えるカンキツグリーニング病発生に伴う寄主植物(柑橘類の苗木など)―の未発生地域への移動規制を、リーフレット配布などを通し、旅行者など含めて周知啓発していく。