集落のため自宅にAED

自宅でAEDを持つ宏洲さん

龍郷町消防団員、宏洲さん
「時間関係なく緊急時使って」

 集落住民の命を救いたい――。龍郷町戸口集落(261世帯579人)在住の町消防団団員、宏洲浩三さん(55)は、集落のためにと、集落内の自宅に自動体外式除細動器(AED)を設置した。集落には町保有のAEDが戸口小学校職員室に1台設置されているが、夜間など職員不在時には使用が難しいという実情を踏まえての行動だ。時間関係なく緊急時などに声かけして使ってほしいという。

 宏洲さんが設置を思い立ったのは、技術講習を受けた消防団員が救急車到着までに救命措置を施す「ファーストレスポンダー(FR)隊」が、今年1月に町内に創設されたのがきっかけ。町消防出初式でお披露目されたのを見て刺激を受け、後に「助かる命も助けてあげられなかった」という事実も多くあることを知った。自宅が事務所になっていて自身が代表取締役を務めている南洲建設が、町消防団協力事務所に登録されていることもあり、自分に何かできないかと考えたのだという。宏洲さんの自宅は商店も営んでいる。

 宏洲さんは「使うことにならないほうが本当はいいが、講習も行っていくことも必要。使う時はどんどん使ってほしい」と話す。

 宏洲さんのAED設置を受け、17日夜には集落内の戸口地区振興センターで、AEDの使い方などの救急講習会が開かれた。FR隊が主催し、子どもや大人など集落住民ら約50人が参加。FR隊隊員の指導の下、AEDの使い方と心肺蘇生法を練習するなどした。

 参加した50代男性は「設置してくれるのはありがたいこと。みんなのために考えてのことで素晴らしいと思う。何かあった時に自分たちがそれぞれ動けるようになることが大事。みんなが助け合って嫌なことで亡くなることがないようになればいい」と話した。

 FR隊の福原尋さん(31)は「使うことがないのが一番なのだが、使う場面もあると思うのでその時には活用して一人でも多くの命が救われたら。定期的に講習会を開いて、住民たちが誰でも助けられる状態を作ってくれたら」と話していた。