行方不明者発見「活動報われた」

熊本県南阿蘇村で行方不明者の捜索活動を行う隊員ら(提供写真)

160428大島地区消防組合地震支援活動報告
朝山市長へ活動報告を行う消防士ら

大島地区消防組合 消防士ら活動報告
熊本地震で被災地支援

 熊本地震の被災地支援のため、大島地区消防組合消防本部から緊急消防援助隊として初めて島外に派遣された消防士5人が27日帰隊し、28日に消防士4人が奄美市役所で活動報告を行った。隊長を務めた山下松夫消防司令(56)は、熊本県南阿蘇村で行方不明者の捜索活動などについて、「一日でも早く発見できればとの思いで活動した。本隊の活動終了直後に発見され、活動が報われたと思う」と振り返った。

 県からの派遣要請を受け、消防本部3人、瀬戸内消防分署と宇検消防分駐所から各1人の5人で「緊急消防援助隊鹿児島県大隊第3次派遣隊」を組織。19日にフェリーで鹿児島へ上り、20日に鹿児島県大隊が対策本部を設置する、熊本県益城町の熊本県消防学校に到着。同地の宿営地を拠点に、22日まで御船町、美里町、熊本市を巡回パトロールした。

 23日からは宿営地を南阿蘇村に移し、地すべりが発生した同村河陽高野台地区で、福岡県や長崎県から派遣された隊などとともに、スコップで土砂を搬出するなどして行方不明者を捜索。余震や降雨による二次災害への懸念で作業中断を強いられながらも25日まで作業を行い、同隊の活動終了後に、捜索エリア周辺で行方不明となっていた70代男性が発見されたという。

 隊員らによると、人命捜索では宿営地から片道約1時間かけて捜索現場に到着。最終日には2時間の睡眠時間で捜索活動を行うなど、厳しい環境下で支援活動に努めたという。

 同組合管理者の朝山毅奄美市長は、「危険と隣り合わせのなか、現場で災害支援を行った消防士5人にお礼申し上げる」と労い、「地震はいつ起こるか分からない災害。奄美は自然災害の多い地域でもある。今後とも崇高な消防精神で活動してほしい」と述べた。

 山下消防司令は「初めて援助隊として作業し、活動に必要な物資や精神面を学んだ。今後の活動につなげていきたい」と話した。