ミカンコミバエ対策検討会議

緊急防除の解除に向けた根絶確認の方法などについて話し合った第3回「ミカンコミバエ種群の防除対策検討会議」

発生ほぼ終息と推測
緊急防除区域解除前倒し可能性も 7月9日示す、防除対策は継続

農水省は31日、第3回「ミカンコミバエ種群の防除対策検討会議」を開催した。会議では、有識者が「発生はほぼ終息しているものと推測される」と判断。7月9日には最後の誘殺(昨年12月21日)から3世代相当期間が経過することから、当初示していた来年3月31日の緊急防除区域の解除が前倒しになる可能性も提示された。一方で、同省では今後も、根絶を確認し緊急防除が解除されるまでは、現在実施している防除対策を継続するとしている。

奄美大島では2015年12月13日から植物防疫法に基づく緊急防除として、同種が寄生するおそれのある果実の移動制限を実施している。今回の検討会議では同年12月下旬以降、現在まで誘殺が確認されていない状況を踏まえ、専門家の参加を得て、これまでの防除対策の実施状況などを検証し、緊急防除の解除に向けた根絶確認の方法などを検討することが目的。有識者5人と県農政部など関係機関が参加した。会議は非公開。

ミカンコミバエ種群の発生状況については、有識者から気温が上昇する春先に新たに羽化する成虫の発生が懸念されていたものの、前回の検討会(1月19日)以降も誘殺が確認されていないこと。寄生果実も3月22日に奄美大島でバンジロウ(グアバ)1果が確認されて以降、確認されていないことなどから、「これまでの防除効果が出ている。ミバエが存在している可能性は否定できないが、発生はほぼ終息しているものと推測される」とした。

根絶は最後の誘殺(昨年12月22日)から3世代相当期間トラップによる誘殺がなければ、有識者の意見を踏まえて確認。そのため、3世代相当期間が経過する7月9日前後には、緊急防除解除に向けた検討会を行う予定となっている。

一方で、誘殺が確認された場合の対応として、飛び込みと発生の判断基準も設定。誘殺確認から1世代相当期間、確認地点から半径5㌔の範囲内で新たに誘殺が確認されなければ、「飛び込み」による誘殺と判断。誘殺や寄生果実の状況、沖縄などへの飛来の状況や風の流れを調査する流跡線解析などを総合的に検討し、飛び込みによる誘殺と判断できない場合には、確認地点から半径5㌔以内の緊急防除解除は見送られることとなる。

守屋成一座長(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター企画部産学連携室専門員)は「ゼロの証明は出来ないが、限りなくゼロに近い状態にして、地元のためにも早く解除したい」と語った。

今後の防除対策については、奄美大島は緊急防除解除まで現在の防除策を継続。徳之島については、誘殺が発生初期に集中していることも踏まえ、第5回の航空防除は実施しない方針。緊急防除が解除された後も、①トラップの増設及び再配置などの侵入警戒体制の強化②テックス板の備蓄や即時供給体制の構築など迅速な防除体制の整備―を進めるとした。

同省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「今回の検討会では3世代相当期間が過ぎる日付(7月9日)が明確に示されたことは大きい」とし、「今後の対策として、移動規制に至らないよう、テックス板などの資材を備蓄し、迅速な対応が出来るよう、しっかり防除できる体制を作っていく」と話した。