寄港地建設問題

寄港地などの建設予定地となっている龍郷町芦徳集落北側の海岸

受け入れ断念町方針 クルーズ船会社へ
今後の進展、判断注目 芦徳集落区長「葛藤なくなった」

 龍郷町芦徳集落におけるクルーズ船寄港地建設計画に関して19日、徳田康光町長は町として受け入れを断念する方針を示した。町の方針は地元関係者を通じてクルーズ船会社(ロイヤル・カリビアン社)に伝えられており、今後の進展については、同社の判断を待っている状況となっている。

 同計画は中国の富裕層などをターゲットとしたアジアクルーズの寄港地建設。5千人の観光客を乗せた20万㌧級の大型船が寄港し、新たな桟橋の設置やアクティビティ施設やレストランなどの建設を計画していた。

 5月には地元・芦徳集落の住民に対して、6月には同町主催で同社の副社長らを招いた説明会をそれぞれ実施。徳田町長は当初、個人として賛成の意向を表明していたものの、町民からの意見聴取や、漁協役員の反対文書提出などから、「町として推進できない」との方針を示した。

 当初は同集落の住民投票で受け入れの可否を決定するという話も出ており、集落民からは「周辺の自然環境のことを考えても、芦徳集落の住民だけで決めるのは荷が重い」という声も。計画については、地元内外から、工事による赤土の流出防止策を問う声や、環境への影響などを指摘する声があった。

 また、今月6日には公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が計画対する声明文を発表。同社が地域や関係者に配布している説明資料の中で「WWFとの連携」を明記していたことについて、WWFジャパンとの連携はないこと、同社とパートナーシップを結んでいるWWFアメリカも事前説明を受けておらず、計画に関与していないことを表明していた。

 同社の地元関係者によると、同町からは19日のうちに文書で町の方針が届けられたといい、20日現在、「英訳をして、そのまま本社に送っている。今後については、本社の返事を待っている状況」とした。

 芦徳集落の大村允久区長は今回の龍郷町の発表に対して、「ある意味の決着がついた形。ほっとしたというより、今までいろいろ葛藤していた分がなくなったという気持ち」と語った。