旧盆から続く不出漁

名瀬港湾内に係留された船舶

台風10、12号 スーパーでもシビ品切れ

 「旧盆頃からほとんど漁に出られない」―。8月下旬、本州の南海上から接近し、奄美群島の東海上を1週間近くうろうろしていた台風10号の影響で奄美では不出漁が続いている。さらに追い打ちをかけるように、奄美地方に接近する12号に「ため息しか出ない」と多くの漁業者は途方に暮れている。

同群島内の漁業は一本釣りなど日帰り漁が多いため、5㌧未満の小型船舶が主流。波高3・5㍍以上になると漁ができない場合がほとんどだ。台風による高潮は、通過後も数日続くことから、台風の断続的な接近は不出漁の長期化につながる。

近年まれに見る台風発生の遅さが、取りざたされた今夏だったが、8月後半から多発。特に同月22~27日ごろまで、奄美近海に“居続けた”10号の影響で、うねりを伴う高波が月末まで続き、漁協関係者は「長い盆休みになった。この間の出漁は1~2日程度。(船が)出ても水揚げはなかった」とこぼした。

現在、群島内の各漁協の組合員は所属港内に係留して対策。休漁の長期化を見込み、奄美大島や徳之島などの岸壁には多くの漁船が揚げられている。

市民生活にも影響が出ている。名瀬市街地のスーパーでは近海ものの刺身が品切れ。今月は運動会や敬老会のシーズンだが、集会などで振る舞われる刺身のシビ(キハダ)も注文に応えられない状態だ。ある刺身専門店の代表者は「注文が多くなる時期だがこればかりはしようがない。週明け(5日頃)には海が安定していればいいが…」と声を落とした。