稲村さん出版記念し囲む会

「共著者のように世話を掛けた」と啓子夫人を参加者に披露する稲村さん

久永さとみさんとのデュエットを披露する稲村さんに、参加者も上機嫌で踊りの輪が広がった

「若い人に読んでほしい」
天城町出身

【東京】徳之島出身の稲村公望さんが執筆に当たった『黒潮文明論』『日米戦争を起こしたのは誰か』『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』を記念しての、出版記念「公望さんを囲む会」がこのほど、東京・千代田区の主婦会館であった。稲村さんを慕う100人以上の人々が参加、にぎやかなひと時を楽しく過ごした。

「ふるさとは心も姿も美しく―未来の邦をいま生きる―」と、稲村さんの著書に合わせるように、会は村岡清男さんのハーモニカの伴奏に参加者全員で、ふるさとの斉唱からスタート。発起人代表の湘南病院・田中達三理事長のあいさつの後、稲村さんが、やや照れた表情で中央の金屏風の前に。あいさつもそこそこに、共著者らの紹介になった。

山浦嘉久さん、藤井厳善さん、茂木弘道さん、菊池英博さんが登壇。菊池さんは「私は金融専門家として、郵政民営化に反対していた時、職を賭してまでも自らきちっと、反対していたのが稲村さんだった」と、2003年に日本郵政公社発足と同時に常任理事に就任。小泉政権が推進した郵政民営化に対して断固反対を主張した稲村さんの人となりを紹介。「大事な国民のお金が株や米国債になった。その歴史的な事実を信念の人物、稲村さんと残したかった」と菊池さんは、『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』のエピソードを語った。

これに対して稲村さんは「歴史に残ることに参加させてもらいました」と振り返っていた。また、稲村さんは、「黒潮文明論には、共著はいないがとても世話になり事実上の共著者です」と照れながら、啓子夫人を参加者に紹介していた。その後、余興へ移行。稲村さんの幅広い人脈を現すように、ケーシー・サントスさんのネパール民族舞踊、久永さとみさんの奄美新民謡、甘味けんじ(僧名・伊集院延弘さん)の坊主漫談などで笑顔や、踊りの輪が広がった。

稲村さんは1947年天城町生まれ。鹿児島のラ・サール高から東京大法学部、郵政省へ。01年政策統括官(情報通信担当)。05年、常務理事就任の任期切れで理事を退任した後も民営化撤回を持論として貫いている。稲村さんは、「3冊ありますが、黒潮、日米戦争、ゆうちょマネーの順番で。島の人には、まず黒潮文明論を、特に若い人には読んでほしい」と薦めている。『黒潮文明論』『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』は彩流社から、『日米戦争を起こしたのは誰か』は、勉誠出版から出版されている。