伝統の諸鈍シバヤ

今年も大勢の見物客の中で行われた「諸鈍シバヤ」

コミカル演技で魅了
児童生徒継承、大勢の見物客

旧暦の9月9日の9日、瀬戸内町加計呂麻島・諸鈍集落の大屯=おおちょん=神社で国指定の重要無形民俗文化財「諸鈍シバヤ」があった。日曜日と重なったこともあってか、会場は島内外からの見物客で大にぎわい。コミカルな演技や踊りで観衆を魅了した。

「諸鈍シバヤ」は1185年の壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平資盛=すけもり=一行が、島人と交流を深めるために伝えたのが始まりと伝えられる。一時期途絶えた期間があったものの1914年に復活し、76年に国指定の重要無形民俗文化財に登録された。かつて20種目余りあったという演目は、即興的狂言、人形劇を含めて現在11種目が伝承・保存されている。

諸鈍小中学校の児童生徒による奉納相撲やエイサー、集落女性による踊りの後、男性演者らがホラ貝やハトを鳴らし、踊りながら「ガクヤ入り」で第1部はスタート。同小中学校の児童生徒も「ククワ節」など2演目に参加し、伝統芸能を継承する姿を披露した。

第2部はイノシシとの格闘をかたどった「シシキリ」で幕開け。かまを持って踊る「カマ踊り」や人形劇「タマティユ」など多彩な演目にユーモアスな動きが加わり、会場の笑いを誘っていた。

「諸鈍シバヤ」保存会の瀬沢達也会長(58)は、「多くの人が集まったなか、開催することができてうれしい。小中学生の踊りも素晴らしい出来栄えで頼もしい。これからも諸鈍シバヤが続く限り、頑張って守り続けていきたい」と話した。