他地域と比べ、紬着用率が高い奄美市笠利町の2016年成人式(資料写真
大島紬の着用促進に取り組む、奄美市と龍郷町の2市町では今年度から「本場奄美大島紬購入費助成制度」を創設。同紬協同組合の組合員が生産した「地球印」の反物を購入し、着物などに仕立てた場合、その購入費用の一部を助成している。今後の成人式における成人者の紬着用率アップなども図りたい考えで、「この機会に本場奄美大島紬を購入・着用し、その素晴らしさを実感してほしい」と制度活用をアピールしている。
奄美市の助成制度は市内に在住し、市税等の滞納のない人が対象。商品は本場奄美大島紬協同組合の検査を合格し「地球印」の証紙が貼られた反物で、奄美大島内の紬販売店か、紬組合、紬販売組合から購入し、着物等に仕立てたものが対象。
助成額は▽成人式で着用するため、大島紬の反物を購入し着物に仕立てた人が費用の40%(上限20万円)▽新成人を除く一般の人で、大島紬の反物を購入し着物に仕立てた人が費用の20%(同10万円)▽大島紬の反物を購入し、洋服・小物・その他に仕立てた人が費用の20%(同5万円)―となっている。
制度利用の手続きは、①奄美大島内の紬販売店や両紬組合で購入する紬を決める②購入前に市役所紬観光課(名瀬港町仮庁舎内)に申請③交付決定を受けてから購入・仕立て④領収書や写真を添付して紬観光課に実績報告⑤確定通知とともに助成金が振り込まれる―流れ。
市単独事業で当初予算に1千万円を計上。9月末現在39件、概算で約500万円分の制度活用の申込があった。同市紬観光課の當田栄仁・紬特産係長は「今のところ転勤者など新成人以外の利用割合が多く、この制度をきっかけに紬購入に踏み切った人も多いようだ」と話した。同課では今年35・9%だった成人式の紬着用率を19年度までに50%以上へ引き上げるとの目標も掲げている。
また同市では同制度の制定を記念した展示販売会を来月5~7日の3日間、名瀬港町の本場奄美大島紬会館6階で開催。同制度や大島紬のPRを行う計画。
一方、龍郷町は6月補正で400万円を計上。交付対象者を新成人か、その親族に限定した形で、奄美市と同様に費用の40%(上限20万円)助成を行っている。同町の今年の成人式における紬着用率は63・0%だった。
制度に関する問い合わせは奄美市が商工観光部紬観光課(℡0997―52―1111)、龍郷町が産業振興課(℡0997―69―4523)。