50年以上前の加計呂麻撮影

写真集の完成を喜ぶクライナーさん

昭和37年9月撮影した西阿室集落(掲載写真より)

カラー写真を多数掲載
クライナーさん来島 写真集、町内限定販売も

昭和30年代の後半に瀬戸内町加計呂麻島を訪れ、50年以上昔の集落や伝統行事をカメラで撮影した、オーストリア人で法政大学国際日本学研究所客員所員ヨーゼフ・クライナーさん(76)による撮影写真集『加計呂麻島』(南方新社)が発刊される。定価税込み3780円。11月1日から全国書店で販売。

当時、大学生で伝統行事や民俗学を研究していたクライナーさんは、1962(昭和37)年3~5・9月、63年7月に同町の加計呂麻島と与路島を調査。期間中撮影したフィルム(白黒、ポジ)は約900カットに及んだ。

写真集は、同町町制施行60周年記念として企画。担当した同町教委社会教育課の町健次郎係長によると、▽住民の生活風景▽集落の様子▽豊年祭など伝統行事―を重点に写真を選定。200ページに写真約240点が掲載されている。

当時まだ珍しいカラーフィルムでの撮影に、町係長は「ノロ(祭事の神役)や神事が鮮明な画像で記録され、学術的にも貴重な資料」と賛辞を贈り、その上で「住民だけでなく、奄美が好きな人にも見てもらいたい。奄美の原風景を見ることができる」と話した。

記念式典(15日開催)出席のため10年ぶりに来島したクライナーさん。教鞭をとっていたドイツ・ボン大学や法政大学での講演で写真を数点使用したことがあったものの、写真集の製作は今回初。完成した写真集を見ながら「自分の撮った写真が貴重な資料と評価されることがうれしい」と語った。

現在、町内特価2千円(税込み)で、限定千冊を先行販売中。町役場や町立図書館、せとうち海の駅観光案内所、寄り合い処せとうち―で取り扱っている。

問い合わせはTEL0997―72―1600(同町立図書館・郷土館)まで。