白化に耐えた群体の大産卵

14日夜、奄美市名瀬大浜海岸の沖でサンゴの産卵が確認された(=興克樹さん撮影)

大浜でサンゴ一斉に
興さん撮影多くの幼生の定着期待

奄美海洋生物研究会会長で自然写真家の興克樹さんが14日夜、奄美市名瀬の大浜海岸沖でサンゴの産卵(ミドリイシ属の一斉産卵)を撮影した。産卵を確認したのは、枝状のトゲスギミドリイシやテーブル状のクシハダミドリイシなど約10種類のサンゴ。興さんは「サンゴは回復傾向で、世界自然遺産登録に向けて良い兆候。サンゴの回復が遅れている海域に多くのサンゴ幼生が定着してくれたら」と期待している。

撮影は14日午後10時~同11時半にかけて、大浜海岸から沖合80㍍、水深2㍍の地点。同時刻帯から次々とサンゴ群体が産卵し、直径0・5㍉ほどの大きさの淡いピンク色のバンドル(卵と精子の入ったカプセル)を放出。バンドルはゆっくりと浮上して海面ではじけ、他群体のバンドルの精子や卵と受精。プラヌラという幼生になり数日から数週間浮遊し、適地に定着してサンゴとして成長するという。

興さんによると、今回の撮影地である大浜礁池は1998年夏のサンゴの白化現象で壊滅。現在のサンゴはその後、新たに定着し成長したものという。

16年夏に発生した白化現象で、9割のサンゴが白化。だが死滅したサンゴは1割以下で、大部分のサンゴは回復し今回も一斉産卵が確認された。興さんは「昨年の白化に耐えた群体の大産卵に感動した」と語った。