平和への思い共有を

奄美野生生物保護センターを視察した

20171126(キックオフイベント2日目)②
慰霊碑に献花を行った翁長知事

奄美との交流で翁長沖縄県知事

 

 沖縄県は26日、奄美群島との連携拡充を図り、大和村などで「奄美・沖縄交流拡大事業キックオフイベント」の2日目を行った。島内視察で世界自然遺産候補地奄美大島の自然の価値などの説明を受け、3月に建立された宇検村の船越海岸にある対馬丸の慰霊碑を訪れ献花し、平和への思いを新たに沖縄と奄美の交流促進・地域発展に向けて連携を深めるとした。

 同イベントは、沖縄県と歴史的、地理的、自然的に関係が深い奄美群島が今後様々な分野で交流推進し、相互連携して地域活性化を図る目的。25日は奄美市名瀬のホテルで、JTIC・SWISSの山田桂一郎代表と筑波大学大学院の吉田正人教授が世界遺産と地域振興、環境教育などについて講演した。

 26日、翁長雄志沖縄県知事ら一行は、大和村にある野生生物保護センターを視察。同センターの職員が館内を案内しアマミトゲネズミやアマミノクロウサギなど固有種の説明を受け、映像資料などを視聴した。

 次いで宇検村の対馬丸の慰霊碑に移動。慰霊碑の前で元田信有村長など地元の関係者が横断幕を掲げ出迎え、翁長知事は住民などに感謝の意を伝え慰霊碑に献花した。

 遺族会も碑に花束を供えて、翁長知事が対馬丸事件に対する思いなどコメント。「慰霊碑の建立に感謝する。沖縄で対馬丸のことは毎年、心に刻んでいる。県民に奄美で遭難者の救助や遺体の埋葬などが行われたことはあまり知られていない。子や孫に引き継いで、奄美と良いつながりができれば」と語った。

 翁長知事は慰霊碑を訪問し、平和への決意を新たにしたという。「大義のある戦争はない。戦争は住民や子どもなども巻き込まれる。何としてでも戦争は避けなければならない」とし、「平和への思いを共有し、心の交流を図ろう。沖縄はアジアの経済発展に乗り経済が伸びてきているので、南西諸島地域として共に発展しよう」と翁長知事は奄美側に呼び掛けた。

 元田村長は、沖縄県訪問団の慰霊碑への献花に感謝。「私たちの歴史として次世代に引き継いで行く。子どもたちの平和教育、交流につながれば」と話し、沖縄にある対馬丸記念館の児童合唱団との交流を計画しているとした。