奄美大島の広範囲で油状漂着物確認

奄美大島の広範囲で油状漂着物確認

奄美大島の広い範囲の海岸に打ち上げられた油状物(1日午後3時10分ごろ、奄美市名瀬朝仁海岸)

沈没タンカー関連は不明 幅広い生物への影響懸念

 奄美海上保安部は1日、奄美大島沿岸の広い範囲で油状物の漂着が確認されたことを発表した。同保安部によると先月14日に奄美大島西方沖で沈没したパナマ船籍のタンカーと今回の漂着物との関連は不明だという。

 同日午前11時20分ごろ、名瀬保健所から同保安部に「一般の人から(奄美市名瀬の)朝仁海岸に油状のものが漂着しているとの連絡があった」と通報が入った。これを受け、同保安部は市町村・関係機関と連携し調査を実施。その結果、笠利町須野のあやまる岬から宇検村宇検のクラキ鼻の範囲で油状物の漂着が確認された。

 同日午後3時半からは関係機関や市町村と会議を開催。今後は市町村ごとに詳細な沿岸部の調査を進め、調査結果をもとに防除作業を行うことを決めたという。同保安部は漂着物について「近づいたり、触れたりはしない方が良い」と呼び掛けている。

 先月6日夜、中国・上海沖で貨物船とパナマ船籍のタンカーが衝突。そのまま炎上しながら漂流し、同14日に奄美大島西方沖で沈没した。タンカーは原油の一種「コンデンセート」を積んでいたため、原油の流出が懸念されていたが、同保安部は今回の漂着物と関連性については不明としている。

 奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「海鳥や砂浜にすむ生物、魚類などの幅広い生物への影響が懸念される。大潮の時期だから波で押し戻される可能性も高く、陸路で行くことのできない海岸に流れ着くかもしれない。回収作業は多くの人員で行う必要がある」と語った。

 奄美大島海区漁業調整委員会の茂野拓真会長は「今のところ所属船からそういった連絡を受けてはいない。影響などまだわからないことが多いため、今後は情報を取りながら対応していきたい」と話した。