本格的な油回収作業スタート

漂着油の回収マニュアルが7日に完成し、8日には県大島支庁職員らによる初めての本格的な回収作業が行われた

県、マニュアル完成で自治体配布
アオウミガメの死骸発見

 奄美群島で油状の漂着物が確認されている問題で、県大島支庁は8日、奄美市名瀬の朝仁海岸で油の回収作業を始めた。策定を進めていた回収手順を示したマニュアルが7日に完成し、各市町村に配布するなど、回収作業に向けたスタートが切られた。

 1日以降、奄美群島全島で確認されている油状漂着物について県は同日以降、海保、自治体などと連携し調査を実施。並行して回収手順や注意事項などを示したマニュアルを作成。同支庁は県ホームページへの掲載や各市町村に配布などを行い、回収作業開始への準備を整えた。

 この日の作業には同支庁職員25人のほか、環境省奄美野生生物保護センター職員、ボランティア作業員らが参加。回収した油を集めるドラム缶(約200㍑)5個も現場に搬入され、初めての本格的な作業となった。参加者らは長靴の上からビニール袋を履き、油が靴底につかないよう防護。手袋や雨合羽の着用など徹底した対策が取られた。

 参加者らは手作業、火ばさみ、箸などを用いてビニール袋に漂着油を入れ、一カ所に収集。その後、油が付着した大きな漂着物はコンテナに、小さな漂着物や油のみの場合はドラム缶に収集。この日は2時間でゴミ袋112袋、計560㌔の油と油が付着した漂着物が回収された。作業に参加した同支庁建設課の山内香帆莉さん(22)は「現場には初めて来たが、砂に埋もれるなどして、あると思っていない場所にも油があって驚いた」と作業の感想を語った。

 同支庁建設課の島田公史課長は作業時の注意点として「健康、安全管理、防護を徹底し、マニュアルに基づいた分別をしてもらえたら」と呼び掛けている。同支庁は8日朝までに回収用のドラム缶を130個用意。9日から2、3日中に各市町村の要望を聞きながら、海岸へのドラム缶設置を進めるが、マニュアルの各海岸への掲示に関しては各市町村と協議する予定。島外へのドラム缶移送も必要性に応じて検討していくという。6日から朝仁海岸に設置されている回収用のコンテナに関しては、島内の在庫不足などにより各海岸には設置しない方針。油が付着した大きな漂着物などはドラム缶の付近にまとめてほしいとしている。

 島田課長は、「ドラム缶設置までの期間もあるので、ボランティアでの回収作業に関しては市町村に問い合わせた上で行ってほしい」と話した。また、今後の回収活動は市町村との協議の上、マニュアルにのっとって実施していくという。

 同市名瀬知名瀬では、漂着油による窒息が原因で死亡した、アオウミガメの死骸が6日昼ごろに発見された。県自然保護課によると、甲羅の長さが30㌢程度の大きさで、獣医師による解剖の結果、窒息が死因と判明したという。同課は漂着油の生態系への影響について「今後情報収集に努める」としている。